家事との距離感と見て、まず思い浮かべたのが溜まった洗濯物、干しっぱなしの洗濯物、埃だらけのタンスや本棚、髪の毛やゴミが散らばる床、水切りラックに置いたままの食器などなどサボりにサボった、空気もちょっと悪い暗い情景が思い浮かんだ。
◎ ◎
もう一歩考えてみると、サボった結果ではなく、やらなきゃいけないけどやる気にならない、明日が楽になるのはわかってるけど今の楽を取りたいとベッドから動かない私が思いつく。
そのさらに先をいってみると、現在私が思う距離感に辿り着いた。
私にとっての家事の距離感は、サステナブル、である。
節電や節水、お肉をいただかないなどではなく、私のサステナブルだ。
現在私はアンサステナブルな家事をしている。
よくある典型的なタイプで、やる時は一気に完成度の高い室内に変身させ、やらない時はやれずにどんよりした空間を完成させてしまうのだ。
◎ ◎
彼氏と住み始めた私の最大の関門は料理。
切って水にさらしたり塩をかけて寝かせたり洗ったり焼いたりレンチンしたりなどやることが多くてめんどくさい。
だったら、コンセントをさして部屋中を歩き回る掃除機にさわらせてほしい。
服を投げ入れて液体を入れて洗濯バサミにぶら下げるだけの作業も悪くない。
だけどそういうわけにはいかない。イライラしながらも頑張ってきた。
しかし私に転機が訪れた。
引っ越しだ。
バリバリの都内から、バリバリの埼玉に引っ越した。
IHになって、コンロも三口になって、シンクも広いし収納も5倍以上、野菜を切ったりするスペースも上下左右ともに大きくなった。
◎ ◎
さらにもう一つ転機があった。
それは、アメリカの料理対決のYouTubeにハマったことだ。アメリカ全土から集まった料理のスペシャリストが、豚肉料理縛りや生鮮食品禁止、10ドル以内の食材で作るなど厳しすぎる基準を設け対決していくものだ。
1本40分の動画を少なくとも15本は見た。
シイタケ、トウフ、シシトウ、ウマミなどなど日本語がたくさん出てきたし、それらの料理が評価されていて嬉しかった。
主に西洋っぽいものが作られており、ハンバーガー、ポークチョップ、パスタなどなど私の好きな食べ物が鮮やかにテーブルに並んでいく、幸せなYouTubeだった。
中華料理などでよくある鍋から炎が上がるシーンはもちろんあるし、オーブンでカリカリにしたり、ミキサーでおいしそうなベースを作ったり、料理的なエンターテイメントもしっかり整えてくれていた。
何本も見ていたら、料理って意外と悪くないのかもしれないと私の中の固定概念が少し溶けた。
◎ ◎
そこで、私も何か作ってみたくなり、快適になった台所で料理を始めた。
と言ってもそんなに難しいものは作ってない。これまで卵はスクランブルエッグかオムライス一択だったけれど、小松菜やきのこと炒めてみたり、スパニッシュオムレツにしてみたりした。彼氏もすごく喜んでくれて、たくさん食べてくれるから品数が増えた。
これはどうだ?これもおいしいか?などなど、彼氏のために料理するようになった。
今までは自分で作ったものはおいしいと感じられず、あんまり食べずに彼氏に全部食べさせていたけれど、最近は私も食べたいと思える料理を作るようになってきた。たまにおいしいと自分で感じる。
料理への距離はぐっと近くなったものの、先週唐突に料理のやる気がなくなってしまった。リモートワークだった彼氏に全部投げてしまった。
物価高の影響を真に受ける私たちは、見切り品ばかり買うのですぐ調理しなければいけないのに、野菜室はパンパンのまま。
これぞ、アンサステナブルだ。
◎ ◎
サステナブルに料理をするためにはどうしたら良かったのだろう。
またアンサステナブルになることが怖くて、また今週から料理を再開できる気がしない。サステナブルに料理をしていたい。
冷蔵庫だけではなく、あんなにハマったYouTubeを見るのも嫌だ。
だからこそ私はまだ料理への距離を感じている。
この距離感、どうしたら詰められるのだろうか。
サステナブルな料理との付き合い、うまいこと見つけないとフードロスに繋がってしまう。
とりあえず余ってしまったものは全て冷凍庫に移動させた。
彼氏と協力しながら頑張ります。