緊張の先にあった物、それはこの「かがみすと」という経験だ。
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初めて「かがみよかがみ」でエッセイを応募した時のテーマが、「ピンクとの距離感」だった。そのテーマに私は「固定概念」や「マイノリティへの考え方」について、自分の考えを綴ってみた。
昔から感じていたことであり、自分のリアルな感情を文章で表現してみた。
正直、自分の考えを周りの人たち以外に伝えること、そして簡単に他人の目に触れられ、一瞬で広まり、且つ、なかなか消せない世界の「ネット社会」に出すことはとても勇気がいった。
なぜなら、批判されるのではないか、と思ったからだ。
「誰も見ないかもしれないし、考えすぎかもしれない、けど可能性は0ではない」
そんな考えが頭をよぎっていた。
その恐怖心から、提出締切日ギリギリまで何度も何度も文章を修正し、本当にこんな文章を応募してもいいのだろうか、と考え続けていた。
しかし、私と同じことで悩んでいたり、同じ考えの人が周りにおらず、孤独感を感じている人が世の中にはいるはずだ、その人たちの何か微力でもいいから力になれればいいな、と思っていた。
なぜなら私がそうだったからだ。
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いつも自分が悩んだときや、孤独感を感じたときに、助けてもらえたのが、「同じ価値観をもった考え方を持つ人の意見を聞く」ということだった。
私は何度もこれに救われてきたのだ。
自分が批判されるのではないか、採用されないのではないか、という不安や緊張感よりも「少しでも誰かの支えになれれば、社会を変えるきっかけになれれば」という気持ちの方が勝った。
それに同じ考えの人がきっともっといるはずだ、そのような人が仲間を見つけることで、声を挙げることへの恐怖感が減り、社会を変えるきっかけになるのではないか、という一種の希望もあり、応募してみた。
ど素人が書く文章で、しかも当時の私は普段から本を読む人間ではなく、文章の世界とは全く関係のない世界で生きてきた人間。
「そんな人間が書く文章、おそらく採用されないだろう、でも1つの経験として出してみよう。」と、思い、「えいやー!」と提出してみた。
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その数日後、仮採用の連絡が来た。全く予想もしていなかった事態だったので、初めはなんの通知なのかが理解できなかった。
その時に感じたのが、「人間、やってみないと何が起こるか分からない」ということだった。
応募するときに「緊張するし、怖いし、やめておこうかな」と思い応募しなければ、「採用される」というステップにも上れず、自分は文章を書くということが好きなんだ、ということにも気づかない別の人生を歩んでいただろう。
何か新しいことに挑戦するのは、とても緊張するし、不安もある。
この感情を感じないように新しい何かに挑戦することを諦めてしまう人もなかにはいるかもしれない。
しかし、そこを乗り越えてチャレンジすれば、新しい自分に出会える。
何事も応募しなければ始まらないのだ。
ダメもとでもいいから、個人的には、何事も「やってみる」という行動力はとても大切だと思う。それが緊張の先に出会った私が気づいた物である。