地元を離れて一人暮らしをしている私にとって、今のところ介護は無縁のものである。

しかし、決して無縁ではいられなくなるということは分かっている。

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これまで父方の祖父が体調を崩して、入院したことはあったが、入院してからはあっけなく、自宅に戻ることなく逝ってしまったので、お見舞いには行ったが、自宅での介護というものを経験していない。

母方の祖父はデイサービスに通っているが、まだ母方の祖母が元気であることと、母の兄弟が祖父母宅の近くに住んでいるため、母が駆り出されることも少なく、私にまで呼び出しがかかることは少ない。

実際毎日介護をしていない身からすると、今はとても恵まれていて幸せだと感じる。

介護に無縁のため、これまでも学業に専念できたり、今こうして就職する場所を好きに選べていることに感謝の念を抱かざるを得ない。

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両親の還暦が近くなり、そろそろ介護のことを話さなければいけないなと思う今日この頃である。

まだ大丈夫だと思ってしまうが、両親は確実に老いている。

まだ働いているし、アクティブであることは間違いない。

しかし病気が見つかったり怪我をしたりすることは予測不可能だ。

私はまだ独身だが、自分の家族を持つようになると急に駆けつけるということができなくなる。会社の制度で介護をするための時短勤務というものもあるが、さすがに毎日リモートワークというわけにはいかないだろう。

働き方だって変わるし、自分の家族ということについて考える必要が自ずと出てくるように感じた。

私には弟がいるが、弟にも仕事がある。弟が会社を辞めて介護に専念をするということがうまくいかないのは想像するにたやすい。

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それに自分の両親だけでなく、将来の義両親の介護をする必要もあるという事実を忘れてはならない。

両親の介護以上に難しい話題で、血の繋がりというものを考えさせられるだろう。

そんな時に母方の祖母の検査入院が決まった。今回ばかりは母も病院の付き添いに行くとのことだった。

これまでずっと健康であったため、入院という事態にショックを受けたが、米寿近いというのにいつも祖父の面倒を見て健康でいてくれたことに感謝だなんとなくずっと元気なんだろうなと思っていた自分がいることに気づいた。 絶対にそんなことはないのに。

祖母が入院中の祖父の面倒は誰が見るのか。

祖母が数日間入院をするというだけで課題が山盛りなことがわかった。

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今回このエッセイを書くにあたって、介護は無縁のものであると思っていた介護が自分ごととして捉える必要のあるものだと気づくことができた。

考えないようにしていたが、センシティブで難しい話題であるが、避けては通れないものである。

話題にすることは難しいかもしれないが、年末年始の帰省を控えているので、近い将来に直面する話題として、自分ごととして捉えたいと思う。

今回そのように考えるきっかけとなった。