私は先月、1ヶ月少し付き合った彼とお別れをした。
たった1ヶ月?!と思うかもしれない。ただ私はそんな短い恋でも、思う存分泣き、充分に落ち込んだ。それ程本気の恋をしてしまったのだ。
彼とは職場が同じだ。彼が私と同じ職場へ転職してきて、1ヶ月経ったところで私が猛アプローチをした。彼は私の求める全てを持っていた。顔、学歴、身長、家系、優しさ、仕事に対しての情熱、そして将来設計。
だからこそ、こんな人が彼氏だったら良いなと思ったのが始まりだった。

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告白されなければそれまでで、先ずは自分の気持ちに素直になって、彼へアプローチをしようと決意した。私から映画や食事のデート等を誘い、次第に彼からも〇〇行こうと誘われるようになり、5回以上はデートをした。
そんな彼と付き合う直前のデート後、私とのご飯の別れ際に離れたくないとキスをした。
曖昧な関係が嫌いな私は、どういう事か可愛く聞いたところ、「本当に俺の事好き?俺の事、どう思ってる?」と質問返しをされた。
私は曖昧な言葉でその場を濁した。そして彼は、「次会う時は、しっかりと伝えるからね」と告白宣言をした。

彼の言葉通り、良い感じの雰囲気になってから次に彼と会った日、彼から告白された。
告白された当日は、彼の好きな香水に絡め、一緒に香水を調合する香水デートをした。香水を作る際には、香りが強い香水は何mm迄しか調合してはいけない、甘い香りの香水は最後に数滴垂らす等、香水の世界は広いなぁと新しい事を学んだのと同時に、彼の好きな香りは何か、もっと彼の事を知りたい。そんな気持ちで一杯だった。

彼からの告白は実に真面目だった気がする。同じ会社という事もあり、「会社にはいつ言おうか」、「何か不安な事があったら何でも言って」付き合う瞬間はそんなに話さなくても良いでしょと内心思いながらも、私はそんな少し不器用だけど素直に、誠実に向き合ってくれる姿勢が好きだ、と彼にも伝えた。

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それから1か月間、定番のデートスポットへ行ったり、仕事終わりの飲み等で数回会った。まだその程度だったのに、彼からの連絡が遅くなった2、3日の間を空けて、いきなり「友達の時の方が楽しかった。恋愛ってよりも、友達として好きって感情が強い。実際俺たち勢いで付き合ったところもあると思うし(汗)、少し考えてくれないかな(汗)」とLINEの通知が来た。

なんなんだその「(汗)」は、そして夜中にそんな事送ってくるな。せめて話し合いしたい位言えよ、そして私は決して勢いなんかで付き合った覚えはない!そんな怒りで一杯だった。

後日別れ話の為ご飯に行った。どうやら彼はLINEの言葉通り私に対して恋愛感情としての好きではなく、友達としての好きだったようだ。この気持ちはこれからずっと一緒にいても変わらないと思う、とまで言われた。

そんな気持ちがあった彼の妹が丁度私と付き合いだした頃に離婚沙汰で泥沼化しているらしく、その離婚調停の現実を間近で見ていると今は「結婚」に対して前向きに考えられなくなった。そんな気持ちで一緒にはいられない。と言い訳された。
友達としてしか見れない、はそもそも彼は私の事を本気で好きではなかったとして、妹の離婚沙汰の話を出してきた瞬間は、もっとマシな言い訳なかったのかよとツッコみたくなった。

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ただ別れたい理由を聞いた瞬間、私は一気に冷めた気がした。家族の件で言い訳をしてくる男なんてロクでもない。そもそも好きでもない相手に告白して「これから宜しくね(ハート)思い出沢山作ろうね(ハート)」なんて言って1ヶ月で別れを切り出すな馬鹿野郎!しかもクリスマス前に!空気読めよ。と勿論今は彼に対して怒りの感情が強い。

だが1か月経った今、まだ彼を思い出してしまう自分がいる事に気付いた。

沢山の友達に彼との不完全燃焼な恋について愚痴を吐きまくり、励ましてもらっても、そして彼と別れ話をした際にシクシク涙を流して私の気持ちも固まったと思ったつもりでも、何故か彼の事が忘れられない。そもそも部署は違うが会社は一緒な為、会いたくなくても1週間に最低1度は彼の存在を知る事になる。
私は、彼の事を好きになり過ぎてしまったのだ。彼から浮気された、嫌な事をされた、彼と一緒に居ると居心地が悪かった。そんな事は一切思った事はない。だからこそ、悔しさが残る。彼はずるい。

だけど1つ言える事。私は自分の理想の男性にアプローチをかけて付き合う段階までは進めた。それって凄くない?そして本気で恋出来たんでしょ?こう自分に言い聞かせるようにしている。

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やっと今日、彼と作った香水を全て使い切った。捨てるつもりはない。ただ、私の部屋の香水コーナーに飾るだけだ。これからその香水は、私が今まで集めた何十個もある香水のうちの1つとなる。私の思い出となるのだ。

彼と作った香水がどんな香りだったか、思い出したいと思える迄まだまだ時間がかかりそうだが、彼と作った香水を目にした際にはこう思えるようになりたい。「楽しかった時間を有難う」。

彼と作った香水、「17:55」。香水の名前は丁度香水の調合が全て終わった時間が17:55だったからだ。彼が名付けた香水も、「17:55」偶然同じ名前だった。
この「17:55」の香水を見る度に、彼との思い出を思い出すだろう。彼と一緒にいた私は、私が好きな私だったな。そんな、相手の事だけでなく自分の事も好きになれる相手がもう1度現れますように、さあ2024年、新しい香水を新調して、また一歩を踏み出そうかな。