今年のチャレンジは、去年のうちから決めていた。

「47都道府県制覇」

この夢を持ち始めたのは、ちょうどコロナ禍に入ってからだった。元々は、国内旅行より、海外旅行の方が好きだった私は、イタリアよりも仙台の方が遠い、みたいな(心理的)距離感を持っていた。そのため、様々な国に行ったことがある一方で、都道府県は行ったことがないところが多かった。

しかし、コロナ禍に入り、強制的に海外旅行に行けなくなる中、旅行先は国内へと変わっていった。

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国内の旅行先を調べてみると、思いの外、面白そうなところがたくさんある。好きな小説に出てくる場所、映画のロケ地、歴史的名所、食文化。

海外に比較して、国内の方が馴染みが深い場所が多く、行きたい場所は次から次へと出てくる。

歴史なんて特にそうだ。戦国時代が好きな私にとって、当時の国の数だけ名所があると言っても過言ではない。お城を見に行ったり、武士の像を見に行くだけでも価値がある。また、その場所にいるだけで、どんな闘いがあったのかを妄想できる。豊臣秀吉が水攻めしたんだよな、とか、春日山城に、とか、そこにある建造物以上の情報がそこには含まれている。

文学もそうだ。この気候で、この自然だからこその思考が出てきたことが肌で感じられる。東北は自然が多く、宮沢賢治のような文豪を生んでいる。九州なんかは、霧が多かったり、盆地が多く山で囲まれている様は、確かに神話的世界観が生まれそうだ。私も大好きな有名漫画家も九州出身だなぁなんて思いを馳せてみる。

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食文化もまたその一つだ。社会で、それぞれの県の名産を、学生時代に叩き込まれたおかげで、何県の何がいつ美味しいのか、47つ分の大小の違いがはっきりとわかる。名産を食べるのも楽しいが、それだけではない。お土産に何があるか、どう商品展開しているか、みてみると面白い。例えばりんごが名産なら、りんごにとどまらない。りんご味のキャンディーや、りんご酒などあの手この手でアピールしてくる。

数年前、行ったことがある県を数えてみた。制覇まで残り10県。これは全ていけるぞと確信した。

意識して、行ったことがない県を行き出したのはこの頃からだ。九州旅行の際には佐賀にも行ったし、京都だけでなく滋賀にも行ったし、埼玉ももちろん巡った。吉野ヶ里遺跡や、深谷は素晴らしかった。中でも滋賀は私の大好きな武将、山内一豊も住んでいたことのある長浜城がある。なんでこんなに(少なくともイタリアよりは)身近にある場所の魅力に、これまで気がついていなかったんだろう。よく目を凝らして、よく文学や音楽を聴いていれば、絶対辿り着けたはずなのに。

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いよいよ2024年。残すところ4県となった。今年中に達成できるよう、予定だけはすでに組んである。

つまり、これまで43都道府県を巡ったことになる。その、どの県にも、これがよかった、これが美味しい、という特色があった。これだけたくさんの魅力があるのは、日本の良いところなのではないかというのが純粋に出てきた感想だ。それに、これだけ回ってもまだまだ行き尽くしておらず、もう一度行きたい場所は、いくらでもでてくる。

制覇した時に何を思うんだろう。しばらく旅行はいいや、と思うのか、あそこもここも行きたい、って思うのか。今から自分の反応が気になっている。

今年は、のんびりと、大人の社会見学を楽しもうと思う。