私の2024年の目標は歯ブラシを長持ちさせる事だ。え?1年の初めにそんな些細なこと!? もっと他に何かないの!? そう思われるかもしれないが、少し私の話に耳(いや、文章だから目?)を貸していただきたい。

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「ねえ、こないだ買った歯ブラシもう開いちゃってるよ!!」
人生で何度このセリフを家族から言われたことか。軽く見積もっても百回は言われた気がする。

というのも、私は小さな頃から歯磨きに力を入れすぎてしまう癖があるのだ。なので私の歯ブラシの毛先は私の怪力に耐えられず、すぐに開いてしまう。そのせいで、歯茎を傷つけたことも数え切れず…歯医者さんからも散々の忠告を受けていたのにも関わらず、その癖は治らないままだった。

そして恥ずかしながらそのまま社会人となった私は、一人暮らしを始めた。相変わらず歯ブラシをどんどんダメにしていったが、その度に交換するのもめんどくさくなってしまった。終いには来客が来るタイミングに、見られても恥ずかしくないように綺麗な歯ブラシに交換するという、誰かに言ったらドン引きされるようなことをしながらなんとか凌いでいた。

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しかし、そんな私に転機が訪れた。昨年末、仕事で精神を病んでしまったことをきっかけに一人暮らしをやめ、祖母宅に住むことになったのだ。そして、それと同時に相変わらず異常な速さで歯ブラシをだめにする様子をみかねた祖母が私の歯磨きを本格的に正そうと動いてくれたのである。

「あなたにぴったりな歯ブラシを見つけてきたわよ!!」
祖母が意気揚々と掲げたその歯ブラシは力を入れすぎるとカチッと音がする仕組みになっていた。まさしく私にぴったりだった。

早速その夜、使用してみた。いつも通りの力で磨いてみると…カチッカチッカチッ
え、めちゃくちゃ歯ブラシから音鳴る〜!!!!! やっぱり私の歯磨きって異常なくらい力を入れていたんだ…

今度は音が鳴らないようそーっと磨いてまた。
…。
よし、歯ブラシから音、聞こえない! え、でもこんなに弱い力で大丈夫なんだ…

「ほら〜、今まで力入れすぎだったのよ〜!」
その様子をみていた祖母が笑いながら言った。確かに力を入れすぎてたなぁ…。

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今までなんで私は無駄に力を入れて、歯を磨いていたのだろう…。思えば、私は小さな頃から歯磨き以外のことに対しても「やりすぎ」な一面があった。

夕食に出されたサラダにドレッシングをかけすぎてはいつも「かけすぎ」と怒られていた。メイクを覚えたての頃、張り切って顔に塗ったチークを「濃すぎ」と友達に言われた事もあった。

そしてつい最近もハンカチを干す際に、シワを伸ばすために広げたら、勢い良く広げすぎたようで見事に真っ二つに破れてしまい、持ち主のおばあちゃんに慌てて謝罪したこともあった。

私の日常生活は、「やりすぎ」で失敗しすぎである。

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そもそも仕事で精神を病んでしまったのも「失敗してしまったらどうしよう」とか「周囲から悪く思われているのではないか」とか必要以上に色々なことを考えすぎてしまったり、周囲の人に過剰に気を遣いすぎてしまったことが大きな原因の一つな気がする。

振り返ってみると、やりすぎてよかったこともあるのかもしれないけれど、やりすぎて良くなかったことの方が目立つ。

ここまで振り返ってみて、やっと気がついた。私に必要なのは何事に対してもほどほどの力加減で生きていくことなのではないだろうか。

しかし24年間、続けてしまった「やりすぎてしまう」癖はすぐには治らないだろう。この癖を治すのはきっと長期戦だ。

なので今年は、その最初の一歩として、まずは優しい力で歯磨きを続けて、歯ブラシを長持ちさせたいと思う。綺麗な状態の歯ブラシで2025年を迎えることができたなら、それは私にとって大きな成長になるのではないだろうか。