私の視界を広げたもの、それはボーイズラブ、BLである。
正直な話、私は高校まで偏見を持っていた。というよりそもそもボーイズラブという関係性があることを考えたこともなく、その時点では知るきっかけもなかった。そしてそういうコンテンツが一部でめちゃくちゃ人気ということも知らなかった。

そして今の日本、いや世界も?では空前のBLブームが起こっている。
漫画でとどまっていたBLコンテンツはアニメになり、深夜ドラマになり、なんならゴールデンタイム枠のドラマにもBLの関係性が登場するようになった。
さまざまなタイプのイケメン俳優やアイドルが主演2人を演じるようになり、その出演がきっかけで大ブームになった俳優も少なくない。また日本のBLドラマは海外人気も高く、ネットフリックスやアマプラなどのサブスクで、字幕がつけられ、世界配信される作品もある。これから伸び行く市場であることは間違いない。

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私の話をすると、BLという概念を突き付けられた(と言わせてもらおう……)のは大学入学してすぐだった。私の入った専攻はなかなかに個性が強い人間の集まりで、各々が自分の「好き」にまっすぐ堂々としていた。

これはすごくいいことなのだが、BLの概念すらぼやぼやの私にいきなり18禁レベルの描写のあるBL漫画を大量に貸してきた友人が3人ほどいた。今思うとあれはもう軽く洗脳レベルだったんじゃないかと笑ってしまう。

周りへの配慮としてBL漫画を持ってくるときはDiorやらのデパコスのショッパーに入れてくるものだから、最初はえー新作?と聞いた時、中身とのギャップに慄いた。

初めてBL漫画を読み始めたときの感想は、「受け付けられない、無理、頭痛」だったが、頑張って読み進めていくと確か結局は、あまりの2人の運命の切なさに号泣した気がする。それを貸してくれた友人に言うと得意げにほいほいとお代わりのBL漫画を持ってきた。腐女子の布教力恐ろしや……となった。

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何十冊もBL漫画を読んで、BLアニメも見ていくとなんとなくパターンがあることが分かってくる。してもキスまでの幼馴染同士ゆるキュン学生もの、様々な問題に翻弄されながらも愛を紡いでく社会人BL、受け攻めぶっとんだ設定のエロBLなどなど、どこに話の見せ場を作るかでストーリーも重さも全然違ってくる。

特に私が価値観を揺さぶられ、苦しかったのは、男女が愛し合う場合にはない壁が男同士だといくらでも存在すること。
近年同性愛者の権利問題がニュースに上がることも増えたが、BLを読んでいると、その苦しさ辛さを想像して涙が出るときもあった。もちろんあくまでBLコンテンツはエンターテインメントの範疇なので、実際の当事者の方の問題と一緒にしてはいけないが、こんなにただ愛し合っているだけなのに、どうして異性は良くて同性はダメなの?と思う。

BLコンテンツの話に戻るが、その悲しき運命や切なすぎるシーンが他の男女の恋愛ものじゃ味わえないから人気がでるとも言える。それに加えて私は女性ならではの別角度からもBLコンテンツを見る。
例えばBLドラマの主演はもちろん男2人だ。まずそこが良い。女優がいないのでイケメンだけを拝める。そして男女の恋愛ドラマだとすぐキスしてベッドシーンまでやりがちなのが正直飽きた、かつ、女性が性的消費される場面を見るのがそんなに好きじゃない人もいるわけで、BLドラマなら自分を投影する対象の女性がいないので、ストレスフリーに見れるという点。女性にとって自分と交わらない反比例先にあるのがBLドラマ、BLコンテンツ、だから人気なのかなと思う。

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熱く語ってしまったが私は今話してきたさまざまな感受性や観点をBLコンテンツと触れ合うことで手に入れたと思っているので、前の私より相当視界が広がっていると感じる。

強引に私に布教した友人たち、ナイス。