「今日の朝食、何食べた?」と聞かれると、「白米、納豆、お漬物」と答える。「きのうの朝食、何食べた?」と聞かれても、「白米、納豆、お漬物」と答える。

「1年前の朝食、何食べた?」と聞かれても、「白米、納豆、お漬物」と答える。大学生の私がお世話になるのはまだ先かもしれないが、もし将来、認知症テストを受けることになっても、食べたものだけは即答できるだろう。

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「毎日同じものを食べるの飽きないの?」とよく聞かれる。もちろん「飽きるよ?」と返す。飽きてはいるが、毎日同じものを私は食べている。なぜなら、コスパよく、タイパよく、炭水化物、タンパク質、ビタミンが摂取できるメニューだからだ。3パック68円で買った納豆を1パックと、安い時にまとめ買いした野菜を漬け込んだ漬物を小鉢につぎわける。

だいたい1食50円程度で収まる高コスパ。さらに、調理過程が一切ないから、白米を温め、冷蔵庫から納豆を取り出し、漬物をとりわけるだけで、朝食の準備が終わる。カップ麺を作るよりも速く朝食が完成するという最高のタイムパフォーマンスだ。

そして何よりも魅力的なことが、何も考えなくていいということ。毎日同じメニューかつ日持ちのする食材を選んでいるので、冷蔵庫の中身を考えたり調理工程を考えたりする必要がない。私の生活の中で朝ごはんについて考えている瞬間はほとんどない。強いて言うならば、9日に1回ある納豆3パック×3個を買いに行く日くらいだろう。買い出しの日は、頭の片隅で朝食について考えていると言えなくもない。せいぜいその程度だ。

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料理が嫌いなわけじゃない。むしろ、夕飯は毎日自炊するくらいには料理は好きだ。でも、時間のない朝に料理したいと思わない。調理器具を洗いたいと思わない。そして、忙しい日々の中で、一瞬でも朝食のことを考えたいと思わない。その結果、毎日同じものを食べるルーティンができあがった。

朝食と同じく、一瞬でも考える時間がもったいないという理由でできたルーティンがもう1つある。それは、服装だ。毎朝、何を着るか、何を合わせるかに悩むのが億劫な私は服装に関するルーティンを設けることにした。ズボンは同じものを3着買う、ブラウスは色違いで3着揃える。カーディガンも同様、色違いを3着揃えている。

もちろん、下着も靴下も同じものを揃えてある。こうすることで、朝の準備をするときに、何も考えることなく、ハンガーラックの手前から服を取るだけでコーディネートが完成する。

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こうして私は、マニュアル化された朝の時間を手に入れた。朝食だって、服装だって、とうの昔に飽きている。でも、飽きているだけで嫌いになった訳じゃない。隣の芝生はいつだって青く見えている。毎朝、違うメニューが並ぶ食卓、毎日気分を変えているコーディネート、他の人の朝の時間すべてが輝いて見える。正直眩しすぎて直視できないくらいだ。

しかし、私の庭の芝生だってきっと青く生い茂っているだろうし、もしかするとお隣さんからはきれいな青い芝に見えているかもしれない。だから私は、自分の気に入ったライフスタイルを貫いていこうと思う。