私が初めてスマホを持ったのは、小学六年生の時だ。

地元の小学校では周りにスマホを持っている人が数人しかいなかったので、スマホを使うのは両親と連絡を取る時だけだった。

◎          ◎

中学に入ると私立だったこともあり、クラスの大多数がスマホを持っていた。

そこでクラスで行われたのが「LINE交換会」だ。

言い出した人は良かれと思って発言したのかもしれないが、私にとっては最悪の時間でしかなかった。

なぜなら私はスマホは持っていても、LINEを持っていなかったのだ。

過保護な両親が、現代ほど普及していなかったLINEに対して

「危険だから、そんなアプリは入れてはだめ」

と、アプリをダウンロードできないように禁止されていた。

そのため私はクラスの友達とLINEではなく、メッセージ機能を使って連絡を取るしかなかった。

◎          ◎

最初は「親に禁止されているから仕方ない」と自分に言い聞かせていても、LINEをやっていないことで友達とのメッセージの頻度が落ちたり、何よりグループLINEに入れないことで私はだんだんとクラスから疎外感を感じるようになってきた。

このことを両親に話すと、渋々ではあるが利用することを承諾してくれ、無事に人生初のLINEをダウンロードすることができた。 

おそらく、ちょうどその頃からYouTubeやX(旧Twitter)、インスタグラムなど、現代の若者にとって欠かせないSNSが普及してきたと思う。

そして、この多様なSNSが普及してきたことで私の生活は一変した。

今までテレビやゲームに使っていた時間のほとんどをSNSに費やすようになった。

特に私に影響を与えたSNSが「YouTube」と「X(旧Twitter)」だった。

◎          ◎

先週のスクリーンタイムによる「よく使われたもの」を見てみても、YouTubeは16時間半、Xは24時間半と、今でも変わらない私のSNS不動のツートップだ。

それもそのはず、私は就活生にも関わらず休日になるとその時気に入っているYouTuberの動画を一から見返し、一定時間見て満足するとXで二次創作を読み、また違うYouTubeを見るという自堕落なサイクルを繰り返しているのだ。

ここまで書いてきて、客観的に見ても自分は正真正銘のスマホを手放せない人間だと思う。

しかしその反面、スマホを使っていない時間も確かにあるのだ。

それが、お風呂の時間とトイレの時間だ。

そもそも私は家の中で基本的にリビングに居座っているため、お風呂に行くにしても、トイレに行くにしても、スマホをわざわざ持って家の中を移動することがない。

必要なのは、自分の部屋に行くときくらいだ。

だからこそ、最初にお風呂とトイレにスマホを持っていく人が多いと知った時はかなり衝撃だった。

◎          ◎

たまたま見ていたカップルYouTuberが、「彼氏の○○君はいつもトイレで漫画をスマホで読んでいるから出てこない」「彼女の○○だって、お風呂にスマホを持って2時間出てこないじゃないか」という会話をしていたことは今でも忘れられない。

コメント欄をチェックしても「あるある!」「私もよくYouTube見て長風呂しちゃう」と、共感のコメントしかなく、そこで初めて自分のこの考えは少数派なのかもしれないことに気が付いた。トイレは用を足したらすぐ出るし、お風呂にスマホを持っていくためにわざわざ防水ケースを用意するのも面倒な私には今後も到底できないだろう。

私は自分自身を四六時中スマホを手放せない人だと思っていたが、確かにスマホを手放すことのできる時間もあった。

年々スマホのスクリーンタイムが増加し、過保護な両親に視力低下を心配されている。これ以上生活を怠惰にしないためにも、こうしたスマホを手放せる時間を大切に維持していきたい。