私は自分の容姿に自信がない。自分の顔が美しいと思えない。

そう初めて感じたのは小学生のころだった。好きなクラスメイトがいて、気持ちを伝えたのだがフラれてしまったことがきっかけだ。

理由は 「かわいくないから」。
そこから、私はかわいい部類の女子ではないんだなとずっと思っている。

なかなか彼氏ができず、人並みに恋愛ができない。日々悩んでいるが、何も進展はしない。苦しくなることも多いが淡々と毎日を過ごしている。

そんな私は写真を撮ることがあまり好きではなかった。

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写真はそのままの自分が映し出される。鏡で見る自分と違ってがっかりする。

ニキビがあり赤ら顔で肌はぶつぶつしている。何でこんな鼻が大きいんだろう。歯並びも悪いな。髪も癖っ毛だ。見れば見るほど嫌だなと思う。

そんな私はある日、あるきっかけで韓国の若者カルチャーを知ることになった。
韓国の若者は写真を撮るのが好きだ。街のいたるところに写真館がある。写真を見てみるとどれもすごく綺麗に写っていた。肌はなめらかで艶々だ。写真を撮る前に専門店でメイクをして撮る人も多いそうだ。
またプロフィール写真といって今の自分の美しさを記録することが若者たちの間で流行っているようだ。写真の修正はもちろん必須だ。さりげなく修正をしてくれる。

日本では特別な日、イベントにしか写真を撮らないことが多い。
自撮りもナルシスト、自分に酔ってるなどと顔をしかめる人がいる。
だけれども今この時期の美しさがあると思う。写真を撮らなければ後悔するのではないか、と思った。次の瞬間、SNSで私は検索をかけていた。

韓国で写真を撮ってみたい。強く思いSNSで韓国のスタジオを探した。翻訳機を駆使しなんとか予約を撮ることができ、私は1人で渡韓した。

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スタジオになんとか到着し、まずはメイクルームに案内された。日本ではしっかりメイクをしてもらうという経験は成人式以来なかった。
まずは化粧水を含んでいるパットで顔を拭いてくれた。ファンデーションは筆と柔らかなスポンジを使い細やかに塗ってくれた。いつもなら乾燥するのに時間が経っても肌はつやつやのままだ。
アイメイクも、竹串をライターで炙りまつ毛をくるんとあげてくれた。キラキラのアイシャドウをさりげなく涙袋につけてくれた。鼻もシャドウをしてくれて小鼻になった。リップは少しオーバーに書いてくれた。

これが私?
こんなに丁寧にメイクを受けたのは生まれて初めてだった。
とても綺麗ですよと褒めてもらえた。
スタジオに移り写真を撮った。修正も時間をかけてやってくれていて、納得のいくプロフィール写真が撮れた。
この思い出も、写真も私のお守りとなった。

自分の顔は嫌いだったし、自分のことは好きじゃなかったが、韓国でこのような経験ができて清々しい気分になった。自己肯定感がアップしたような気がする。
この日のことを、写真を見るたびに思い出すだろう、歳を重ねておばあちゃんになってもきっと誇らしい気分になれると思う。