スマートフォンは私達の生活の中で欠かせない存在である。私自身もその便利さを実感してきた。しかし、スマートフォンから離れることの重要性について気づかされる出来事があった。

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私は、一度スマホから距離を置いた日があった。そのきっかけは高校時代にスマートフォンをいじりすぎたがためにテストで良い点数がとれなかったことで、母にスマートフォンを没収されてしまったからである。その日から一週間ほどスマートフォンが私の手を離れ、別の場所にしまわれていた。最初は不安で逆に勉強に集中できなかった。常に手元にあるはずの存在が、突如として消えてしまったような喪失感で非常に辛かった。しかし、その感情と同時に、解放されたような気持ちも湧き上がってきた。普段はスマホばかりに気が向けられていたことで、普段気づかなかった細かな瞬間を、スマホとの距離ができたことで見ることができた。

また、友達とのコミュニケーションにも変化があった。友人と遊びにでかけたとき、私はスマホを家に置き忘れてしまい、その日は完全にスマホから距離を置くことになっていた。しかし、一日スマートフォンを持っていなかったことで気持ちに変化があった。スマートフォンを手放すことで自分の周りの人々とのコミュニケーションが深まり、自然と目が相手を見つめることができ、話に集中することができた。このように相手の表情や声をきちんと聞くことで温かさに気づいた。スマホに頼らない時間が、自分と周囲とのつながりを深めることができるのだと実感した瞬間であった。

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また、スマートフォンから離れたときに感じたことがもう一つある。それは、時間の流れが遅く感じられたことだ。スマートフォンの世界では、瞬時に情報が手に入り、瞬時に返信ができる。分からないことがあっても、ボタン一つ押せば簡単に知ることができる。私自身も今流行りのTikTokやインスタグラムなどを利用しているがこれらを利用しているときは、信じられないほど時間の進みが早く、時間を無駄にしてしまった気持ちになる。せっかくの休日も外に出かけず一日中スマホに向かうことが多かった。

しかし、それが一時的に遮断されたとき、時間の価値が変わることに気づく。スマートフォンを置いて家族と出かけたとき、今までに感じたことのない幸福感に加え充実感を感じられた。急ぎの連絡がない分、今の瞬間を大切にできる。自分のペースで生きているような、解放感があった。

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これらのことから、スマートフォンから距離を置くことで奪われていたものに気づかされた。それは、リアルなコミュニケーションや自分自身と向き合う時間である。スマホがなければ目を上げて笑顔で人と話すことができ、自分の中に眠る感性や好奇心に気づくことができる。もちろんスマホの便利さや使い勝手を否定するつもりはない。私達の生活を便利にするツールとして、活用するべきである。しかし、スマートフォンを手放すことで新しい発見や感動があるのも事実である。スマホを手放す時間は私達にとって貴重な時間である。スマホから距離を置くことで心が豊かになり、より充実した時間を過ごすことができる。また、自分自身や周りの人々との関係性を深める良い機会である。

新しい発見、本来の時間の流れ、自分との向き合い方。これらを考えると、スマートフォンとの付き合い方を見直す必要があるのかもしれない。手放すことで、得られるものがあることを知り、大切な瞬間を見逃さないようにすることが重要である。