毎日24回、1時間に一度、欠かすことなくランダムに変化する私のスマホの壁紙。中身は様々だが、どれも私が撮った写真たちだ。

私のおまもりは、この写真たちである。それは、旅行先の美しい風景の時もあれば、見慣れた街の新鮮な表情だったりする。親しい友達や家族が写っていることもあれば、鳥や動物、魚の時もある。

なんでも写真撮る癖のある私は、素敵だと感じた瞬間を写真に閉じ込め、スマホの壁紙にランダムで設定している。そうすることで、壁紙が目に入る度に色んなものを貰っていると思う。

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旅行先の素敵な出会いが思い出されることがある。土地勘のない場所で困った時に、道を教えてくれたご夫婦。とても親切にしてくれて、道だけでなくおすすめの観光スポットも教えてくれた。ご夫婦と別れた後、折角ならとその場所を訪れ、記念に撮った時の写真。一期一会な出会いだったけれど、親切にしてくれた彼らの暖かい心遣いを私も見習いたい。

住み慣れた土地の、何度も通ったはずの道の写真も残っている。そこは天気や季節が今とは違ったり、雨上がりに虹がかかっていたり。忙しいと、足元や手元のSNSばかりに目を落としがちだ。でも、ふと顔を上げれば、いつでもいつもと違う風景に出会える。

街全体が衣替えをした様に、全然違う顔を見せてくれる瞬間が好きだ。どんなに日々に忙殺されていても、素敵なものを素敵だと思える感性を忘れずに、大切にしたい。

友達と撮った記念写真。沢山お喋りをして、美味しいものを食べた日のことも、失恋した友達を慰め合って、一緒に夜を明かした日のことも。

何か運の悪いことがあった時、嫌なことがあって自分は孤独だと感じた時も、楽しかったその瞬間だけはいつまでも色鮮やかに残り、私の味方がいつも側にいる様に感じる。

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たまに、どこで撮った写真なのかどうしても思い出せないことがある。なんで撮ったか分からない程些細なものだったり、場所は思い出せるけど、去年か、一昨年か、いつその場所を訪れたのか分からないものだったり。

そういう時は一度アルバムを開いて、写真を見返すのも楽しい。エピソード記憶が得意なので、どんな経緯で撮った写真なのかを思い出せるし、過去の記憶に想いを馳せる瞬間は何度繰り返しても楽しい。

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ふとした瞬間に変わっている写真たちのおかげで、また毎日を頑張ろうと思える。何故、この様に写真たちをランダムにスマホの壁紙にしているかというと、私のスマホのアルバムには大量の写真が眠っていたからだ。

3年前、今のスマホを購入してから今日までに撮った写真の枚数は約1.5万枚。それらをこのままアルバムの肥やしにするには勿体なくて、何かいい方法がないかと模索した結果、辿り着いたのがスマホの壁紙だった。

最初はお気に入りの1枚を選んで壁紙に設定していた。でも、いくら大好きな瞬間の写真でも、日にちが経てば、見慣れてしまい、特別感が薄れてしまう。飽きる度に何度も何度も写真を変更しても、特別な瞬間を切り取ったはずの写真を見慣れてしまうのは、なんだかとても悲しかった。

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ある日、いつもの様に壁紙を変更していると、壁紙をランダムに変更してくれる仕様を見つけた。iOSがアップデートされた時に新たに付随された機能らしい。試しに、スマホ画面をロックする度に壁紙を変更する設定にしてみた。

最初はランダムの中から出力されたお気に入りの風景の壁紙にとても満足していたが、画面をロックする度に変化するのは少し自分には合わなかった。スマホをロックする度に次の壁紙が気になってしまう様になったからだ。それではいくら無数にある写真たちでも、何度も同じ写真が出力されてしまい、面白くない。

頻度を落とし、1時間に一度、壁紙が変更される仕様に設定した。これが私にはあっていた。

私の、私だけのおまもりは、今日もその表情をコロコロと変えて、元気を、笑顔を、感動を、喜びを、ふとした瞬間に届けてくれる。今日も明日も明後日も、目紛しく終わっていく毎日を、少しだけ良いものにしてくれる、そんな素敵な、私だけのおまもりだ。