X(Twitterの言い方の方が好き)でたまたま見つけた学生団体の新歓の案内がきっかけだった。大学生になり、サークルを探していた私は学生団体というコミュニティ自体初めて知った。惹かれたフレーズは「廃校で文化祭を」というものだった。廃校という響きだけでなんだかワクワクした。コロナ禍でまともに文化祭を味わうことができなかった私は「楽しそう」という理由だけで入団した。

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私が本格的に団体に関わったのは、入団した代の次の代からであり、その代で理念の見直しが始まった。「大学生が1から創る自由な文化祭」から「廃校を通して都市と地方の架け橋となる」という新しい地方創生という観点から打ち出されたものであった。地方では人口減少などの理由から廃校となる学校が多くあり、その廃校を再利用した新しい取り組みや施設が存在する。しかし、情報の拡散不足によりあまり都市部の人間には魅力が伝わっていない。そこで私たちが地方の廃校利用を伝える広告塔となり、都市と地方の人の流れを作る役割を担うことが活動の目的となった。

なぜ私たちが広告塔になれるのか。それは、私たちの活動の拠点となる廃校が都心に位置しているからである。都心に廃校というギャップで興味を引き、文化祭を開催することで実例を示す、そして地方にある廃校利用の魅力を発信していくという活動を行う団体に生まれ変わった。

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私の視界を広げたものは、その活動内容そのものに当たる。「地方創生」と聞くと、その地方に身を置いて活性化に取り組むというイメージを持っていた。そのため、若者は地方創生に対して遠いような、興味があっても取り組みづらいイメージがあるのではないかと考える。正直私自身も地方創生活動について親しみも感じず、興味もそこまでなかった。しかし、実際に地方の廃校利用について調べて取材したりするうちに、ただ面白いだけでなく、こんな魅力的な取り組みがあまり知られていないことがもったいないと感じるようになった。さらに、自分達も廃校を利用しているという実例があることで、より地方のそういった取り組みに近しいもの、繋がりを感じることができた。

地方創生は遠方からでもできるということは盲点であり、新しい視点だった。そして地方創生という少し硬く感じるイメージに、「廃校」という単語が加わることで「聞いたことはあるけど馴染みはない、けれどどこかワクワクする」、そんな全く新しく親しみやすい地方創生活動になった。

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現在、さらに代替わりし私は団体内で役職を持つまでに成長した。地方創生に興味もなかった人間が団体の中心にいるわけである。入団理由からは想像できないほどこの活動に対して本気になっていく自分に驚きながらも、新しいコミュニティの中で一緒に取り組むメンバーや活動に関わる大人たちと出会い、自分達の思いが形になっていく様子に入団当初とは異なるワクワクを感じている。今期はさらにレベルアップした私たちをもっとたくさんの人に知ってもらえるよう精進していきたい。