私は中学高校が女子校だった。女子校といえば、素を出すことができ、自由気ままに異性の目を気にすることなく学校生活ができて最高だと思っていた。高校のクラスは18人という少人数クラスで、そのうちの11人が参加しているLINEグループがあった。謎に私はその11人に招待されていたが、このグループに参加しているという事は、写真をみんなで撮らなくてはいけない、休み時間は一緒に過ごさないといけない、移動教室は一緒に行かなくてはいけない等の暗黙のルールが存在していた。

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このグループにはボスが存在していて、この人はクラスの代表委員長でもあった。この人は、お気に入りの知り合いに誕生日プレゼントをあげたいときに、みんなをうまく説得してみんなから集金をし、おおきなプレゼントをあげていた。アルバイトは禁止で、自分にはそんなプレゼントはくれもしないのに、その子の強さに負けて、みんながお金を払う姿は実にばかばかしいと思っていた。私はこのような金銭感覚、価値観は自分にはあわないとこの時点で気が付いていた。Instagramで見かける、価値観という言葉、LINEグループから学ぶ「群れることの弱弱しさ」。私はメディアからたくさんの情報を得るたびに、自分の価値観が他人と何かずれているのではないかと感じるようになった。ある日、勇気を出して11人のLINEグループから退会をしたが、そのあとからはボスに他人行儀のように見られる日も続いた。ボスは目上にも媚びを売るのが上手で、最悪なことに私の味方はほとんどいなかった。

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そんな時救ってくれたのは今の推しアイドルだった。アイドルと言えば届かない存在で、教室の中で自分の味方になってくれることはない。身近に存在することはないと思っていた。しかし、音楽を聞けば味方してくれて、自分の存在を肯定してくれて、自分の考え、人生をも守ってくれた。一番遠い存在のようで、実は自分の心にいてくれる存在だった。残酷な高校生活ではあったし、今は残している写真も一枚もない。

でも、環境が変わって大学に進学したいま、自分にあう価値観の人に多く出会うことができた。高校の時私に勇気をくれた推しが私の人生の歩みを続けさせてくれたのだと思う。私はあの高校という小さな環境で自分のことを否定していた。しかし、メディアによって出会った推しが私の人生を輝かせ、前進することに背中を押してくれた。

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だから私は言いたい。たとえその場にいる人と自分の価値観が合わなかったとしても、理解しようと努力しても価値観が理解できなくても、自分を信じることは最も大切であるということ。結局は自分の人生なのだから、自分を苦しめた登場人物は登場人物だとは思わずに、自分の幸せを守る事は大切だという事を。何か新しいものに出会い、感じるということが自分の視野を広げ、自分の人生をも守ってくれるものであるということを心に刻み、大切にしていきたい。