職場はなかなか休みを取れる雰囲気ではないが、急遽休みを取ることに決めた。
休みを取ると上司に告げた時、緊張で体が震えた。私にはどうしても休んででも成し遂げたいことがあった。

27歳の自分がウェディングドレスを着た写真を残したい。

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27歳でパートナーがいる自分。もしいたとしたら、今頃どんな生活を送っていたのかなと思う。
現実の私の状態は、パートナーは望んでいてもできず、探しても見つからず、家と職場を往復しながら自分の存在や今後の人生について考える日々を過ごしている。 パートナーがいない自分は女として失格なのだろうか。答えが知りたくて、色々調べて実践してみたけど上手くいかない。
SNSでは、「入籍しました」とパートナーとのツーショットや婚姻届、婚約指輪の写真が沢山アップされている。
それに比べて、自分は何も変わらない、選ばれない。ひとりぼっちだ。惨めだ。考えていたら、思わず泣いていた。

ドレスの写真が目に入った。
様々な形や色がある、ドレスを着た花嫁さんは本当に綺麗だ。自分だったらどんなドレスが似合うだろうか……とふと考えた。調べてみると、綺麗なドレスばかりだ。 

ドレス、着てみたい。
別にパートナーがいなくたって、誰にでもドレスを着る権利はある。ドレスを着て写真を撮ってみたい。そう強く思った。早速、検索をかけた。

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ソロウェディング、痛い。と検索窓に出てきて胸がずきっとする。
世間では、おかしいと思われるのかもしれない。実際、親にもそんなことに大金を使うなんてと反対された。相手を見つけて撮ればいいじゃないと言われた。
だけど、その日はいつ来るんだろう。教えて欲しかった。待っていてもその日が来なかったら。気持ちが変わってしまったり、着るタイミングを逃して後悔するかもしれないと思った。

オンラインで撮影の雰囲気の希望などの打ち合わせをし、前日はパックをした。本当はブライダルエステをしたり、美容院に行ったりするべきだろうけど、余裕がなかった。
遠方のため少し迷ったけど早めに着いて、スタッフの人が温かく迎えてくれた。
丁寧にメイクをしてもらい、初めてドレスを着た時は感動して涙があふれた。

良かった。着ることができて本当に良かった、そう思った。
何百枚も写真を撮った。スタジオでの撮影は初めてで慣れていなかったけど楽しかった。リタッチもしてくれるようだ。

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今日のことは誰にも言わないでおこうと心に誓った。

私は人の目をいつも気にしていて、やりたいこと、話したいことを我慢している自分に気づいている。多分ドレスを着て写真を撮った話をしても馬鹿にする人がいるだろう。

綺麗だね、良かったね、スタジオまで行けてすごいすごい。自分を褒めてあげよう。もっと自分を大切にしてあげよう。
自分を一番大切にしてあげられるのは自分なんだ。ずっと苦しかった。認めてくれる人が周りにいなくて、誰かに認めてほしかった。
でも誰よりも自分のことは自分がわかっている。これからは自分をもっと気にかけてあげたい。

私は私の選択を常に認めていくのだ。
今日のことは自分だけの大切な思い出にしたい。