私の視野を広げたもの、それは、2015年にアメリカで公開された映画『マイ・インターン』という作品だ。今作は、若くしてファッション通販サイトを設立して見事に成功を収めた敏腕女性社長・ジュールズ(アン・ハサウェイ)と、彼女の会社にシニアインターンとしてやってきたベン(ロバート・デ・ニーロ)が繰り広げる、ハートフルなコメディとなっている。私は大学の授業で鑑賞したことをきっかけにこの作品を知ったのだが、就職活動が始まり、自分の将来についてより深く考える時間が増えたタイミングでこの作品に出逢えたことを、本当に嬉しく思っている。

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ヒロインのジュールズは、仕事も育児もとにかく全力投球でこなす女性だ。それは大変で忙しそうだけど充実していて、なにより何事も中途半端なままにはしたくないという気持ちには強く共感できた。私自身も、やり始めたことはなるべく隙なく最後までこなしたいと思ってしまうタイプで、上手くいかなかったときは、やり遂げることができなかった自分に対する後悔に苛まれる。たとえどんなに簡単なことであっても完璧に終えるというのは難しいもので、理想と現実の差に落ち込むことも多々ある。

作中では、ジュールズや会社の同僚たちに向けて、人生の先輩であるベンが優しくアドバイスを送るシーンがある。それ以外にも、ベンのセリフは観る側をも励ましてくれるようなセリフばかりなのだが、その中でも私が特に印象に残っているセリフを2つご紹介したい。

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まず1つ目は、「Let’s make it happen.(行動あるのみ)」というセリフだ。私は1つのことをやり遂げたいという気持ちがある反面、それを始める前に「もし失敗したらどうしよう」とか「どうせ意味がないことかもしれない」など、やってもいないのにネガティブになってしまうことがある。自分でもそれは良くないことだとずっと思っていて、考えて悩む前にまずは行動することが大切だと最近は特に感じていた。だからこそ、毎日の一瞬一瞬を無駄にすることなく挑戦し続けるベンの言葉には、とても重みを感じた。

2つ目は、「You’re never wrong to do the right thing.(正しいと思うことは迷わずやろう)」というセリフである。自分が選んだものが本当に良いものなのか、おかしいと思われないか、周りの人の目や意見が気になってしまうという経験をした人は、きっと少なくないと思う。でも、何を選んだとしてもそれは巡り巡っていつか経験として自分の糧になるし、まったく意味を持たないということにはならないはず。流されてあとで後悔するくらいなら、自分が選んだ「正しい」と思うことは一度信じてまっすぐに取り組んでみようと思った。

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私はこの作品から、「何かに取り組むとき、自分の気持ちに噓をついてまで無理をする必要はない。そして、すべてにおいて完璧である必要もない。自分自身を大切に、素直に生きることが何よりも大切である」ということを教えてもらった。また、自分を周囲と比べて落ち込んでしまったりすることもあるし、ついついダメなところに目が行ってしまったりすることもあるけれど、自分の短所も否定せずに個性と受け止めて、好きになっていきたいと思わせてくれた。人生をいかに豊かにしていくか、どうやって楽しんでいくかを決めるのは、すべて自分次第だ。

映画『マイ・インターン』は、私に勇気を与えてくれた大切な作品になった。私のような学生だけではなく、今1つでも悩みがある人にとってはとても響く内容になっていると思うので、是非一度、鑑賞してもらいたい。