私は8月生まれの大学生。夏休みの真っ只中に誕生日を迎えることになる。

友達からするといつの間にか誕生日が過ぎてた人のポジションだ。元々友達が多い方ではないし、わざわざ自分から私の誕生日だから祝って!といえる性格でもない。

確かに誕生日はその人が生まれてきたとても大切な日だというのはわかっていたけれど、祝われずに忘れられ、祝ってくれてない友達の誕生日を祝うのはなんだか複雑だった。そして祝われない自分の誕生日に関しても特別感をあまり感じていなかったのだと思う。
高校生だった私は性格が歪んでいたのか、またそのむかつきと大切な友達の誕生日を祝わなくてはいけないという義務感から、夏休みのお土産をばら撒くように誕生日プレゼントをまとめて渡したこともあった。

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私には高校生の頃から応援している韓国アイドルがいる。高校のときはミュージックビデオを見たり推しの出演してるドラマを見るなどと軽く推していたけれど、大学に進学してから高校生の時と比べ時間とお金に余裕が生まれ一気に推すようになった。
2023年1月26日。この日は私の推しの25歳の誕生日だった。そして私の「誕生日」というものの捉え方が全く変わった日である。

新宿の西武線近くの大きなスクリーンで1分間推しの誕生日を祝うためファンの人が用意した広告が出されることをツイッターで知り、学校帰りに新大久保のセンイルカフェに行くついでに見にいくことにした。

あまり新宿で降りたことがなかったけれどワクワクしながらGoogleマップを片手にスクリーンのよく見える場所まで辿り着いた。だいたい始まる10分前くらいに着いたと思う。告知されていた時間が近づくにつれ推しのグッズをつけた人たちで段々と人が増えていく。

私も試行錯誤しながら通行人の邪魔にならなくて尚且つスクリーンがしっかり見える場所を見つけ、場所を確保した。30秒前からスマホのカメラを準備しバッチリと映るように構えた。

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ついに時間になった。推しの踊っている映像と共に流れる新曲。歌い出しには推しの声。様々な推しのベストショットが流れてくる。

新宿という東京のど真ん中に韓国アイドルである推しがメッセージと共に映し出される。それをみんながじっと見守る。なんとも不思議な感覚で、ライブの時とはまた違う胸の高鳴り、そして胸がジーンとなり言葉に表現し難い幸せでいっぱいになり、自然と笑みがあふれた。

「生まれてきてくれてありがとう」。よく聞く言葉であるけれどその意味を実感した。

その人が目の前にいなくても、その人は私の誕生日もそもそも存在も知らない、アイドルとオタクという言うならば赤の他人であるけれど、それでも私は推しの誕生日を祝うことが嬉しかった。

そして私は誕生日を祝うことがとっても幸せであることを知ることができた。

今までは正直なところ見返りを求めてた部分もあった友達の誕生日だったけれど、その日から誕生日を祝うのが楽しい。
ありがとう。私の推し。