私は石橋を叩いて叩いて叩きまくって、それでも渡るのを止めるくらい臆病な性格で、何かをやりたいと思ってもいつも行動に移せずにいます。そんな性格から少し脱却できたきっかけが留学でした。
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昔から新しい環境に飛び込むのが苦手で、海外に行きたいなんて思ったこともなかったです。両親から留学の提案をされても、恵まれた環境とはわかっていながら未知の世界に踏み出すことが怖くて断り続けていました。そんな中、大学のポスターにスペイン短期留学の案内があり、これなら行ってみてもいいかもと思えるような条件が揃っていて、世間話として両親に話してみました。すると、「絶対行くべきだ!!」と背中を押され、とんとん拍子で話が進み、気がついたら合格通知が手元に届いていました。私は行く実感もなければ楽しみという感情も持てず、半ば義務のような気持ちで出発当日を迎えました。
当日、両親に見送られてからようやく日本を出ることに実感が湧き、不安がいっぱいで飛行機に乗るときもワクワク感は一切なく、ずっと後悔ばかりが付き纏っていました。
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でも留学生活は毎日目まぐるしく忙しい日々で、出国前の不安や後悔を振り払うほどの素晴らしい景色と仲間と環境が揃っていて、本当に楽しく充実した毎日が待っていたのです。自販機で水を買うようななんてことない行動すら新鮮で、日本とは異なる新たな考えや価値観に出会うことができました。
留学に行かなかったら、私の価値観はこんなに広く楽しい世界を知らずに作り上げられていたのだと思うと、本当に勇気を出して行ってよかったと思っています。「日本は島国だから、もっと世界を見なさい。私たちがいる場所なんてちっぽけなものよ」という母の言葉を日本の外に出て初めて理解できました。
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「日本が好きだから、ずっと日本にいたい」という思いは素敵なことだと思いますし、今でも私は日本でずっと過ごしたいと思っています。でもこの思いは、留学前は「外国は怖いから」という妥協の感情でしたが、留学後は「日本は素敵な国だから」という肯定的な理由に変わりました。
日本の外に出なければ、気づくことのできない日本のよさもあります。例えば、日本のトイレは綺麗だとよく言われますが、実際に海外のトイレ環境を目の当たりにすると、日本のトイレ設備の充実度に感動しました。また、スペインの方はほとんど親切でしたが、言語がわからない私たちに意地悪をする人もそれなりにいました。だからこそ、日本にいる外国の方にはより親切にわかりやすく接しようと心がけるようになりました。実際に自分の目で見て感じたことで、より日本の環境や自分のおこないを真摯に受け止めることができたのだと思います。
それぞれの国のよさがあり、他国を知ることで日本を客観的に見つめ直すことができます。そして自分のアイデンティティである日本を離れることによって、日本人である自分自身もまた見つめ直すことにつながりました。迷いを振り切って飛び込んでみたら、こんなにも素晴らしい景色が広がっていて、想像以上の学びを得ることができたのです。くよくよしているうちに時は進んでいきます。私は、自分の限りある時間を躊躇ではなく経験に当てたいと考えられるようになりました。今では無理やりにでも留学に行かせてくれた両親に心から感謝しています。
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帰国後は、やりたくてもずっと躊躇していた新しいバイトやサークルを始め、自分の環境をガラリと変えるよう努力しました。やってみたら全てとても楽しく、くよくよしていた悩みの種も意外となんとかなるのだと気づきました。新しい環境に踏み出すことにはまだ抵抗がありますが、一旦やってみよう!なんとかなる!という精神で行動に移すことができています。そして、このような成功体験の積み重ねが自分の自信につながり、臆病な性格を支えてくれているのだと思います。
今年の目標は3カ国旅行に行くことです!!まだ見ぬ自分の姿を見つけるために、たくさんの未知の世界へ踏み出していきたいと思います。