私の性格は、近年流行しているMBTI診断でいうと「INFJ」である。内向型で、友達関係は狭く、深くがモットー。団体行動が苦手で、仲のいい友達が3人いれば大満足の人間である。もちろん自分からあまり関わりの無い人や知らない人に声をかけることは苦手であるし、その必要がないのであれば、ありがたくその場で静かに収まる。

高校1年のときに声をかけてくれた子からは、「あやちゃんの人見知りが強すぎて、『私、嫌われてる?』って思うくらい見えない壁がぶ厚かった」と言われたほどである。

そんな私は、高校2年になって、保健委員になった。「何か1つは委員会に入りなさい」という学校側の指令で、集まりが少ないと噂の保健委員に入ることとした。

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初めての集まりの日。教室に向かっていると後ろから声をかけられた。そう、この声の主こそ我が神友わっちゃんである。

「たしかあやちゃんやんな?」大抵聞き覚えの無い声で引き留められたときは産毛がぴんっと立つかのように、一瞬で緊張が走る。しかし、この一声が耳に触れたとき、ただなんとなく、親しみだったり温かさであったり、何かじんわりするものを感じたのを覚えている。

声に引き寄せられるように振り返ると、わっちゃんが優しい瞳と柔らかな笑顔をむけて立っていた。「私も保健委員やから一緒に行こやー」「うん」

教室まで自己紹介的な会話をしていた。体感2分ほどであったが、この2分で「あ、仲良くなれる」と直感したのであった。不思議だった。わっちゃんの魔力かな?と本気で思った。

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教室に着いてからは「いつから友達になったの?」というくらい二人で大いに笑い合っていた。「コナンがいると必ず殺人現場になる話」、「あの犯人の黒タイツ絶対息できへんやんな、夏どうするんやろな」などなど、今思えば初対面とは思えない話で盛り上がったのだ。

もともとゲラである私なのだが、人見知りが強すぎるあまり、学校では穏やかに、静かに、ふふふっと笑う(らしい)。でもわっちゃんは私のゲラボタンをいとも簡単に刺激。はい、ゲラ発動。委員会中は笑いをこらえるのに必死で腹筋が鍛えられた。シックスパック完成。

その後すぐに連絡先を交換。1か月後には二人で遊びに行き、海でPretender(Official髭男dism)を大合唱した。2か月後には過去の黒歴史を大暴露し、二人で泣いたり笑ったりして過ごした。

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そんなわっちゃんと出会ってもうすぐ5年。お互い大学で忙しいが、久しぶりに会えば、日ごろの鬱憤や楽しかったことなど、ポップコーンがポンポン弾けるかのように喋り倒す。

この前会ったとき、なんとなくわっちゃんに「なんで私にあの時声掛けようと思ったん?」と聞いてみた。「私、仲良くなりたいって思う人にしか声掛けへんから。直感というか、なんというか。でも声をかけたら『あ、仲良くなれる』って思った」。

「見えない壁みたいなん、感じへんかった?」「私も人見知りやから、そりゃ最初緊張したけど、仲良くなれそうな気配があったから壁は見えなかった」

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クラスも部活も何もかもが違ったのに、「保健委員」というたった一つの出会いで、互いに「仲良くなれる」と直感した私たち。まるで神様に引き寄せられたかのようだ。だから「神友」。笑いのツボが同じ、考え方も似ている、趣味も同じ。そしてなにより、「ふふふ」ではなく「ははは」と顔をしわしわにして笑う私がそこにいる。

人見知りだからこそ、友達は少ない。でも、本当に出会うべき友達には、出会ったときに親しみの匂いが漂ってくるようで、体の力がふっと抜けるのだ。今後、新たな出会いがあったときにこの親しみの匂いを感じたら、「神様の合図だ!」と思って声を掛けたい。あの時のわっちゃんのように。