ニュースで見かける悲しい赤ちゃんの虐待死。日本では、約2週間に1人のペースで赤ちゃんが虐待によって亡くなるそうです。
そんなニュースを目にする度に、「信じられない!」と思っていました。「赤ちゃんを傷つけようという考えはおかしい。そんな人は親になる資格はない」とも思いました。でも、出産後、少し考えが変わりました。
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わたしには息子が1人います。昨年の夏に出産した第一子です。息子は本当にかわいいです。目に入れても痛くないほどに。でも、辛く苦しい夜があったのも事実です。
1番辛かったのは、生後3ヶ月くらいの頃でした。なかなか寝ない子で、一生懸命抱っこをして寝かせました。でも、置いたら泣いて、やり直し。昼間はまだいいですが、夜中だと、正直もううんざり。寝不足で頭は回らず、日々の家事でもミスを連発。そんな自分にもイライラ…。
現在、息子は7ヶ月。まだまだ夜も起きるけれど、数か月前に比べたら、少しずつ慣れてきて自分のペースで家事育児を進めることができるようになってきました。
でも、あの時。限界だったあの時。
実母が遠くに住んでいたら、気軽に話せる友達がいなかったら、主人が寝かしつけを代わってくれなかったら、何か少し状況が違ったら、わたしは息子を傷つけてしまったのかもしれません。これからも、また状況が悪化したら…?「わたしは虐待なんてしようと思ったことは一度もないし、これからも絶対にしない」と胸を張って言い切ることはできないのです…。
声を大にしては言えませんが、わたしと同じように思ってる人はたくさんいるのではないでしょうか。でも、みんな、周りに支えられたり、息抜きをしたりしながら、ギリギリなところで辛い日々を乗り越えていっているんだと思います。ニュースで報じられる加害者たちの中に、あの日のわたしがいたらと思うとゾッとする。でも、そんなに遠い話ではないように感じるのです。
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わたしの1番のストレス解消法は「人に話を聞いてもらうこと」でした。自分が頑張っていること、辛いこと、改善されたこと、言葉にしていくとスッキリします。そして、聞いた相手が「そうだったんだね、頑張ったね」と認めてくれると、さらに心が晴れ、もう少し頑張ろうという気持ちになりました。
だから、わたしは、育児の1番の敵は、孤独だと思います。日中は赤ちゃんと2人きり。言葉の通じない赤ちゃんと2人きりの生活は、1人で過ごすよりもむしろ孤独を感じました。孤独は人を追い詰めていきます。その結果が、虐待死という最悪の結果を招くことになるのかもしれません。
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この文章を読んでいるみなさんの中にも、辛い日々を過ごしている方がいるのでしょうか。「なんで寝てくれないの?」と赤ちゃんと一緒に泣いている人がいるのでしょうか。意を決して誰かに相談したとき、「みんなやってきたんだから」「そのうち寝るようになるよ」なんて言われて、もっと悲しくなった人がいるのでしょうか。
自分でも抑えられず、涙が湧いて出てくるんだよね。
「わたし」が、今、辛いんだよね。
あなたは、とても立派です。もう十分頑張っています。でも、もう少しだけ頑張ろう。どうか負けないで。
今、大きな孤独に飲み込まれそうになっているあなた。どうか、負けないで。