私は人見知りが激しい。このように書くと赤ん坊のようであるが、 人見知りをしてしまうのは事実だ。

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お客さんに会う仕事をしているし、社内でも関わる人が多い。
そのため仕事をしている時は、人見知りをしている暇はないのだが、涼しい顔をして人見知りではない風を装っていながら、実はめちゃくちゃ緊張しているし、汗もかきまくっている。
初対面の人と喋る時は、どうしても距離感を気にしてしまうので、すぐに懐に入れる人はどんな特別なことをやっているんだろうといつも気になっている。

仕事であれば、仕事の話題を通してなんとかコミュニケーションを図ることができるが、プライベートとなると、話題は無限にあるが故に初対面の人と2人きりのときは、かなり頑張らないと会話が続かない。
これは新しい人と会うことが億劫になる原因だと思う。

会社では頑張って人見知りではないように振る舞っているうえ、何度も会話して、慣れている人たちとは普通にコミュニケーションできるので、チームの人たちに 「私は人見知りです」と言うと驚かれる。 

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そんな私も人見知りをしない時期があった。

それは3、4歳の頃に、いとこが住む社宅の団地に遊びに行った時全く知らない人と混じって遊んだことがある。
あまりの溶け込みの早さに、母親はいとこの他に知り合いもいたのかと思ったそうだ。

私はその当時のことを覚えていないし、仲間に入れてもらうどころか、自分が先頭を切って仲間を集めていたというエピソードを聞くと、むず痒い気持ちになる。

その団地に住む子供たちを巻き込んで、遊んでいたわけだから実質的なリーダーである。

リーダーは目標に向かって、周りの人を巻き込み、まとめあげる力が必要である。 幼少期の私にはその力が備わっていたのかと思わず感心してしまった。

今ではどうだろうか。
初対面ではなかなかうまく話ができず、リーダーどころかコミュニティに溶け込むのも一苦労である。新しい人や環境に慣れてくるまでは猫をかぶるので、精神的な負担も大きい。

幼少期のように全く知らない人であれば、まとめ上げられるのかと言うとそうでもない。就活の時のグループワークを思い出すが、グループの人の顔色を伺って、フォロワーの立ち位置に収まってしまう。

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私の周りで人見知りをしない人はいないかと探してみた。
直属の上司はとても人付き合いがうまく、初対面であるはずだが、すぐに打ち解けていることに気づいた。
何か秘策があるのではないかと観察してみると、どんな場合でもアイスブレイクから始め、にこやかに冗談を交えて楽しそうに話している。そのうちに最初は緊張した面持ちだった相手側も、ほぐれた表情になるのだ。

緊張していると、どうしても自分が話ができるビジネスの土俵に、即座に持ち込もうとしがちであるが、世間話を交えてリラックスしてからの方が絶対に本音が引き出せる。
誰でも多少なりとも、初対面の人と会う時には緊張するはずだ。それを態度に出すか、自覚するかの問題であるような気がした。

幼少期の純真無垢な気持ちで相手と仲良くなりたいという気持ちを思い出し、上司から学んだ、こちらは緊張していないように見せ、和やかに会話を進める方法を試してみたい。