私は小さい頃から人見知りでコミュニケーションが苦手。外に出ると親から離れる事が不安だった。はじめましての人には特に人見知りを発動してしまう。

近い記憶の中ですごく人見知りを発揮してしまったのが高校の入学式次の日に学校で行われたレクレーションだ。入学式の日はまだ良かった。なぜなら関わるのは先生だけだったから。

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レクレーション当日。電車に乗り、駅から歩いて学校へ向かう。不安な気持ちいっぱいで学校に着くと迎えてくれる先生たち。その後ボランティアとして参加していた卒業生が教室まで案内してくれた。ボランティアに参加している人の中には在校生もいた。

この日も先生だけだと思っていた私は予想外の事でパニックになり人見知りが加速した。教室まで案内してくれる途中、卒業生は私が簡単に答えられるような事を沢山話しかけてくれた。会話の中で同じ町に住んでいる事が分かり、そのおかげで会話を続ける事が出来た。

話しかけてくれた卒業生に感謝しつつも自分が卒業する頃こんな先輩のようになれているのだろうかと不安になった。でも不思議とすぐ前向きな気持ちになり、自分から話せなくても話しかけられたら頑張って会話を続けてみようと思う事ができた。

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それから1年経ち2年生になった私は初めての経験をした。こんな私に沢山話しかけてくれた卒業生と同じ学校のボランティアに自ら参加したのだ。そして後輩である新入生に話しかける事も出来た。正直自分でもびっくりした。

その数日後。話しかけた後輩が「あの時話しかけてもらったんですけど覚えてますか?」と声をかけてくれたのはすごく嬉しかった。そして人前に立っての発表も2度体験した。緊張する事も不安になる事もなかった。そんな自分にまた驚いた。発表後先生に褒められたのがとっても嬉しかった。

私はもうすぐ高校を卒業する。3年間を振り返ると人見知りが故に大変な事も沢山あった。クラスでレクレーションがある度に不安になった。家に帰ってからあの時こんなふうに話しかければ良かったのかな、と不安になる事も少なくはなかった。

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今でも人見知りを発動してしまう時は多々ある。普通に話せるようになっても長期間会わずにいると次に会った時振り出しに戻ってしまう事だってある。でも入学式次の日のレクレーションで話しかけてくれた卒業生と同じボランティアに参加したり、そこで後輩に自ら話しかけたり、人前に立って発表をした事はどれも入学直後の自分には想像出来ない事。

ここまで出来るようになった理由なんて分からないけれど、あの日話しかけてくれた卒業生の存在は大きいと思う。今どこで何をしているのか分からないけれど、もし出来るのならば感謝を伝えたい。あの日話しかけてもらったおかげで人見知りだった自分がここまで沢山の事に挑戦出来て、その経験が自分の財産になったと。

自分が出来ないと思ってた事が出来たという喜びは今でも忘れられない。この先もその喜びを忘れずに自分には難しいかもしれないと思っている事でも挑戦していきたいと思う。そこで得られるものがまた自分の財産になると信じて。