26歳、独身、結婚歴はない。しかし、離婚についてはよく考えることがある。

なぜなら、両親は私が高校時代に離婚をした。私にとって離婚との距離は、近いと思う。

両親の離婚は、娘たちが母に勧めたものだった。母が前向きに生活していくために必要なことだと娘たちで考えたこと。

離婚前は、「でも」「やっぱり」と躊躇っていた母だったが、日が経つにつれて、ぽろぽろと「あなたが◯歳のときにね」と過去の離婚騒動について話してくれた。母は母の姉にも相談し、周囲の後押しで離婚に至った。
母1人と学校に通う娘3人、我が家はいわゆる貧困家庭となった。母のためにと提案したことだったが、もしかしたら金銭的に負担をかけてしまう結果になったのかもしれない。

ただ、母が父のことで悩む姿を見ることはなくなり、『あの時こうだった』と愚痴を言えるようになったのは、良い選択をしたのではないかと思う。

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当時は、同じ時期に親の離婚を経験した友達がいたので、お互いの家庭環境について話し合いながら、慰め、支え合っていた。友達のほうがずっと疲弊していたので、側にいることに徹していた。

もちろん、離婚を勧めた私自身も、変化していく生活に、いつもあった父の存在がなくなる虚無感はあった。当時付き合っていた彼にも、離婚のことは言わなかったし、むしろ、両親の離婚のことであれこれ考えすぎて、別れたいと思ってお別れした。

完全に、周りが見えないほど悩んでいたのだと今なら思うし、傷付かないように意図的に気持ちを鈍感にさせていたのだとも思う。

いろいろな家庭があるように、いろいろな離婚がある。

私のように母に離婚を勧める家庭もあれば、両親の決定に置き去りにされ、「嫌だ」と言えない家庭もある。子が社会人になり家を出てから離婚する家庭もある。「子どもがある家庭なら子どもの意見も聞いて決めるべきだ」と当時は友人と話をしていたが、今なら分かる。父と母である前に、1人の人間なのだと。当人にとって、その時最善の選択をしたのだと。

だから私は、離婚が悪い選択肢だとは思ってない。それで生きやすくなるのならば、人生が開けるのならばそれは良い選択だと思う。

周りも、本人のその選択肢に口を出す権利はない。結婚も離婚も経験した友人がいるが、純粋にかっこいいと思う。自分のために、子どものために、生活のために、離れる決断をすることはすごい。別れを経験した人間ならだいたい分かると思うが、別れにはすごくエネルギーを使う。そういうものを全部背負ったうえでの選択を、自分と同じ年齢でやってのけるそのパワーがある、強い女性だと尊敬する。

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私自身、30歳を目前に控えた今、周囲の友達はパートナーを見つけて、結婚をしたり、妊娠、出産をしたりしている。毎日のようにSNSに流れてくる幸せそうな姿を目にする。

羨ましいなぁと思うと同時に、私は結婚をしたいのだろうかと最近よく考えている。

普段から、始まりがあれば終わりがあると、私は考えている。結婚の終わりには、離婚が待っているのだろうと想像をしてしまう。経験から不安を見すぎていることも事実だ。

うまくいけば、生涯を共に歩んでいくパートナーに出会えるかもしれない。しかし、そう上手く人生が出来ているのかと疑ってしまう気持ちのほうが強い。大体この思考の堂々巡りをしている。

20代30代でパートナーと結婚して、その後40年50年ぐらい一緒に過ごす。そんな幸せな生活を送れたら何も言うことはないだろう。

離婚との距離を考えると、もしかすると近くて見えていないのか、はたまた遠くて見えていないのか、分からなくなる。心配事の9割以上は起こらないと言う。

子どもの立場でしか経験をしていない離婚を通して、未来を憂いている自分へ、今、幸せな時を見るべきだと、結婚も離婚も2人の問題、その時の心のままに選べばいいのだと教えてあげたい。