突然だが、わたしは来月結婚する。
晴れて念願の花嫁となる。
大好きな人と一生を添い遂げる約束をするのは、嬉しい。純粋に幸せだと思う。

一方で、結婚という一つのイベントによって消費されていくお金の膨大さに気が遠くなったりもする。
婚約指輪、結婚指輪、結婚式、新婚旅行……
挙げればキリが無い、かかるお金。

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正直、わたしは結婚指輪にも結婚式にも、新婚旅行にも興味が無い。
わたしが結婚するのは、大好きな彼と毎日をつつがなく暮らしたから。これからの生活を共に戦っていくパートナーが欲しいから。

それなのに、ただそれだけなのに、どうしてこんなにお金がかかるの?

先に断っておくが、わたしは経済的に困窮しているわけでは無い。自分自身、正社員として国家資格を持ち働いているし、彼も公務員として安定した身分だ。
だが、それでも結婚にかかるお金には辟易する。さらに辟易するのは、「結婚します」と周りに伝えると言われる言葉だ。

「結婚式は挙げるの?」
「指輪はどうするの?」
「新婚旅行は?」

わたしは、上記のような言葉を投げかけられ、正直、「全部いらないんです」って答えたいのを我慢して答える。

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「結婚式は、考え中です。指輪は、安いのでいいかなって」

「旅行は国内で行こうかな」

と。

だが、それは周りの価値観とは異なるようだ。

「そうなのね。今は、色んな方がいるからね。でもね、結婚指輪は良いのを買った方がいいわよ。結婚式も一生の思い出だから挙げておいた方がいい。女の子が主役になれる特別な日なんだからね!それから、旅行は絶対海外よ!子どもが生まれたら海外なんてなかなか行けないからね」

人生の先輩方は、自分の歩んできた道がさも正解だというようにアドバイスが止まらない。
あげくの果てには、哀れみの表情でわたしの顔を覗き込んできたりもする。

「お相手の男性は、お給料少ないのかしら」、「あまり大事にしてくれていないのかしら」、「結婚式も挙げない、結婚指輪は安いのなんてかわいそう、新婚旅行なのに海外にも行けないなんて」と相手の懐を覗き込み、自分より劣っていると安心するような表情をしたりもする。

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わたしは、そんな周りの反応を見て自分の大切な彼が蔑まれたような心がキュッと締め付けられるような感情を覚える。

口には出さず、早めに自分の話題を切り上げるよう新たな話題を提供するけれど、心の中では毒づく。叫ぶ。

「わたしたちは、結婚式ぐらい挙げられるお金あるし、結婚指輪は高いの買えるし、海外旅行だって行けるけどあえて、そうしているんです!!結婚式を挙げて、周りの友達から多額のお金を取ったり、両親への手紙でお涙頂戴のような演出が苦手だから結婚式は挙げないんです。高い結婚指輪を買い、一時の承認欲求を満たすより日々の生活にゆとりを持ちたいから結婚指輪は安いものにしたんです。海外旅行もいいけど、今は円安で旅行費用も高くつくし、海外で高いお金をかけて贅沢するより国内旅行で長く、じっくりのんびり楽しみたいから国内旅行にしたんです!!相手のお給料が少ないからそのような選択をしたわけで無く、大切にしてもらえてないから指輪が安いわけではなんです!!」と叫ぶ!!叫ぶ!!あえて、口に出して説明したりはしないけど!!

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それにわたし、「女性は、結婚式が夢」という考え方が苦手なんです!!なんで、ウエディングドレス来たら幸せになれるのか分からないんです。そんなたった1日に300万円とかかけるなら300万円NISAにぶちこみたいんです。

で、NISAで増やしたお金を将来生まれる子どもたちの教育費に充てたい。特別な日だけを特別に過ごすのでは無く、日常にゆとりを持つ生活をするのがわたしの思う幸せで、結婚なんです!

結婚が、指輪とか、式とか旅行とか、そんなインスタに挙げて色んな人に羨ましがられるものばかりだと思わないで欲しい!

日々の生活の安心を求めて結婚を望む人がいることを分かって欲しい。

一時的な快楽のためにお金を使うならそのお金を資産運用に回して、将来的に少し楽したいって思う人がいることも分かって欲しい!!

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なんて贅沢ですか??

多様性って難しいですよね!
結婚をしない選択、結婚をするけど、式や指輪にはお金をかけない選択、
選択はたくさんあるのに周りの人が納得する選択は一つしかない気がして苦しい。
胸がキュッとなるんです!

お願いだから、結婚式を挙げるより、NISAにお金を入れたいと思うような人がいるそんな価値観も許して。

ある日わたしが心で毒づいた、誰にも言えなかった感情です。