7年前の春、私は絶望の淵にいた。
7年前、それは地方の小さな町から上京し、憧れの大学生になった年。
ちょっと背伸びして受験したおしゃれな大学。ダメ元で受けた上に試験内容もちんぷんかんぷんで、全く手応えがなかった。
そんな中でのまさかの合格通知。本来喜ぶべきところだが、信じられない気持ちとおしゃれな大学に私が馴染めるのか不安でいっぱいだった。
「⚪︎⚪︎大学 学生 雰囲気」「⚪︎⚪︎大学 おしゃれ」
入学前の検索履歴は私の不安のれだった。
そもそもオープンキャンパスに行っていればよかったものを、受験前の12月に「どこかもう1校挑戦校として受けてみたら?」と先生に言われ、土壇場で決めたものだからこんなことになってしまったのである。本当に自分の下調べの甘さを後悔した。

◎          ◎

それでも大学では引っ込み思案な自分を変えれるチャンスだ!と思い、自分から行動しようと心にきめた。
とにかくオリエンテーションから自分から声をかけまくった。でもそううまくはいかない。
オリエンテーションの時に声をかけた子にはなぜか翌日無視された。
なんとか健康診断の時に声をかけた子と仲良くなることができ、入学式はその子の所属するグループに混ぜてもらえることになった。
優しそうな子だったし、きっと同じグループに所属している子も穏やかな子たちだろう。
ひと安心しながら迎えた入学式。
指定された待ち合わせ場所に行ってみると……。
派手な髪色、きらびやかなメイク……。
地味な私には近づけないような子たちがたくさんいた。

「きさふりさん?だよね?よろしくね!」
「よ、よろしくお願いします…

もう既にグループとしてでき上がっていたその場に馴染むのはかなり難しかった。
せっかく入れてもらったのに…どうにか話に入らないと!と思っても、会話の内容ついていけない。
もう無理だ…このグループにはいられない……。
でも周りを見渡してもみんなキラキラしているし、もう既にグループができている。
私みたいな地味な田舎者が来る大学じゃなかったんだな……。
私の大学生活、終わったわ…誰も友達できないわ……。
他の新入生が心らす中、私は絶望感を抱きながら帰路に着いた。

◎          ◎

「ただいま」
「おかえり〜!どうだった〜?」

本当にこの時1人じゃなくてよかったと思う。
大学進学を機に関東にある祖母の家に居候させてもらっていたので、常に家には祖母がいてくれた。
出迎えてくれた祖母に私は思わず泣きながら現状を話した。

「頑張って声をかけてもなかなか仲良くなれてなくて……もうみんなグループできちゃってるし……もう誰とも仲良くなれないかもしれない……」

すると祖母は優しく、こう言った。

「大丈夫よ、必ずあなたのこと見てくれてる人はいるから」

こんな田舎から出てきた芋みたいな私を?見てくれる人がいるの?

◎          ◎

あの時は信じられなかった。
でも今なら言える。祖母の言う通りだった。
授業が始まると自然に色んな人と関わる機会が増えた。そしてめげずに自分から話しかけまくった。
すると……。

「実は私お昼1人で食べてて…
「え、きさふりさんもお昼1人で食べてるの!?私もだよ!一緒に食べよう!」

キラキラ系女子かと思っていたら、ぼっち飯仲間だったとうまさかの出会いもあり、永遠に続くかと思われたぼっち飯も早々に卒業できた。
そしておしゃれなキラキラした都会の人しかいないと思っていた大学も意外とそうでもなかった。
私と同じように地方から出てきた人はたくさんいたし、キラキラした見た目ながらも私と仲良くしてくれる子はたくさんいた。
人を見かけで判断してはいけないな…と反省した4年間でもあった。
入学前は馴染めるか不安でたまらなかった大学は今となっては大好きな母校になった。

7年前の春、絶望の淵にいた私に伝えたい。
ちゃんと自分から動けば友達はたくさんできるし、めちゃくちゃ楽しい4年間を過ごせるよ。だからもっと希望を持って。あなたなら大丈夫!!