春といえば、新しい出会いの季節。
入学、進級、転勤など、別れももちろんあるだろうが、コミュニティが拡がるタイミングでもある。
小学生低学年の頃は、新しいクラスになると、大概似顔絵付きの自己紹介用紙に記入していくことから始まる。そして、必ずある欄が「将来の夢」。
今考えてみれば、その夢はどこへいったのやら?という感じだが、皆さんも久々に幼少期の頃の夢を思い出してほしい。
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実際、私はお医者さんになりたい!おじいちゃんの足を彩里が治してあげるの!と言っていたが、高学年の頃にそのハードルの高さにあっさりその夢は諦めたような気がする。
そして、これは表向きの夢。
本当は、スーパーヒーローになりたかった。
なぜ、それを堂々と書かなかったのかは、思い返さなくてもわかることだが、馬鹿にされると思ったからだろう。正義のヒーローはアニメや幻想の中だけでの登場人物。小学校に入学すると、小さなお嬢様や王子様ですら、周りの空気を読み出す。10歳にもなってない子たちでさえ、危機回避能力を備えだしているのだから、大人になるともっと息が詰まるわけだ。
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女の子という単なる可愛らしさだけでなく、芯が強く、悪の敵を倒す、かっこいい姿に幼心に釘付けになっていた。今でも憧れは残っている。だが、そのヒーローという存在自体に対してではなく、彼女らの自信溢れる態度や、特殊能力や人並み外れた力を持っていない人となんら変わりない性格や愛くるしさ、悩みがある姿に惹きつけられているのだと思う。
「MARVEL」作品やアニメ作品など、今では時代の流れも相まって、たくさんの女性ヒーローが誕生しているが、私が今一番魅力を感じているのは、パワーパフガールズである。
簡単に説明すると、可愛い女の子を作る実験中に、薬品を一緒に混ぜてしまったため、スーパーパワーを持った3人の幼稚園児が誕生し、街を守るスーパーヒロインとして悪と戦うというストーリーである。
主人公である3人の少女。ブロッサムは、冷静で正義感が強く、優等生タイプだが、プライドが高く真面目で融通が利かない面もある。バブルスは、無邪気で甘えん坊、素直すぎる性格ゆえに騙されることもあるが、仲間同士の喧嘩や争いごとは苦手。バターカップは、男勝りで負けず嫌い、短気で喧嘩っ早く、お風呂とピンク色が嫌いな子。
という風に、3人ともそれぞれ良い面悪い面を併せ持ち、私たちと何の変りもない少女たちなのだ。なんなら、この3人の性格をミックスさせたら、私になるんじゃないかと思ってしまうぐらい。
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その姿を見たとき、誰でも誰かのスーパーヒーローになれるのだと感じた。戦争や天災から守ってくれるヒーローは残念ながら、実際には存在しない。でも、幼子を抱えて銃撃から逃げる母親も、自分を犠牲にしてでも、崩れてくる瓦礫から身を挺して守ってくれた人も、みな誰かのヒーローになる。特別な能力を持たなくてもいい。困っている人を助けたり、悩みを抱えている人の傍にいてあげたり、話を聞いてあげるだけでも、誰かの心の救いにはなる。
自分も周りの人を助けたいし、逆に手を差し伸べてもらったときに、それを当たり前だと思わず、助けてもらえたと感謝できるような人になりたい。
誰かのヒーローになれた時が、自分が成長し、一人前になれた証になるのではないかと今では思う。
もし、あの春に戻れるなら、私は自信を持って、スーパーヒーローになりたい!と言いたい。
だってその真の素晴らしさを知っているのは、オトナの特権だもの。