あなたを2回の活動自粛、順位降格とします。
納得いかなかった。だって、私は何も間違っていなかったから。でも、小さな組織は、私の行動を許さなかった。たとえ正しいことであったとしても、許されなかった。

私は30代になり、3度目のクイーンになった。数年前まではミス〇〇と呼ばれていたものだ。支部長からやってほしいと連絡を受け、手書きの履歴書を送り、集団面接と個人面接を受け、1位を勝ち取った。しかし、その1位は幻のものとなった。

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なぜこんなことになってしまったのか。そのきっかけは、新聞への掲載からだった。
クイーンになったことが新聞に記載された時、住所が町名まで書かれてしまったため、塾の生徒に自宅を特定されるという事件が起こった。

そこで私は支部長に、住所の記載について意見した。これでは、通常の仕事がやりにくくなるから、個人情報の取り扱いについてはきちんとしていただきたいと指摘した。また、契約内容も日本語が間違っていたり、わかりにくい内容があったりしたので、その点も指摘した。

すると、「具体的な意見がほしい」と連絡が来た。私は言葉をストレートに受け取り、契約書の1条から順番に気になる点を指摘した。するとしばらく返事が来なくなった。

数週間後、私は支局に来るよう指示された。支局に行くと、役員2名と支部長が待ち構えていた。解雇命令だった。私のいない場所で解雇することが会議で決められていたのだ。私の意見は全く無視して決められていた。

縦社会を理解していない、間に誰も挟まず、上司にストレートに意見をするような人は無礼だということだ。縦社会といっても5、6人しかいない小さな組織。他に誰に伝えればよかったのだろうか。それに、具体的な意見がほしいと言ったの支部長本人だ。何がいけないのか納得いかなかった。
簡単に言えば、私の言い方が気に入らなかったのだ。その気に入らなかった気持ちが、私を解雇するという考えにつながったのだ。私に非があるとすれば、「不快になるかもしれませんが……」と前置きはしたものの、言葉に多少キツさがあったかもしれないこと。しかしそれが解雇に繋がるなんて思いもしなかった。

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でも、新聞に名前が出た以上、解雇になるわけにはいかなかった。職場や生徒にクイーンになることが知られているのに、ここで解雇になったら私が不祥事を起こしたと思われるからだ。特に悪いことをしたわけでもないのに、立場が弱いがために、正しいことを言ってもここまで追い込まれてしまう。
自分の言葉が不適切だったと謝罪し、なんとか交渉し、順位降格と活動自粛となった。
とんだ災難だった。もうやりたかった活動も、支部長と活動を共にすると思うと憂鬱でしかなかった。

家族もこの状況を知って、サポートはしてくれたものの言葉は冷たかった。

「あんたは女なんだから立場をわきまえないと」「まだ若いんだから上司を立てないと」「今回のことは社会勉強だと思って」などと言われた。
女だから、若いから、意見したらいけないの?
正しくても意見を言ってはいけない社会なの?
ものすごく腹が立った。イライラとモヤモヤで寝れない日もあった。こんな社会で生きていかなければならないのが辛かったし悔しかった。

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でも、私は負けない。

私は仕事でもコマとしてのポジションが多かった。

私はコマなりにコマらしく、いつか捨てられてもしぶとく生き抜いてやる。捨てたことを後悔するくらい、いろんなことができる人になってやる。

コマだからこそ、自由に動き回って、いろんな知識や能力を身につけて、無下に扱ったことを後悔させるくらいの人になってやる。

そして私は、立場の低い人の言葉を拾い上げる人になる。だってその人たちの気持ちが痛いほどわかるから。女だから若いからと扱われている人を大切にできる人になる。
私はたくさんの経験を積んで、強く逞しく気高くそして人に優しく生きたい。