私を一言で表すのであれば、衝動人間。これに尽きると思う。
書店に行っては気になった本を衝動買いするし、私生活だってそうだ。
パッションに支配され過ぎている。
いつからこうなってしまったのか、よく真剣に頭を悩ませている。
とはいえ、この衝動というものは悪いものというだけではなく、いいことも引き起こしてくれる。
「行動力がすごい」という他者評価を得ているのは、他でもないこのどうしようもない衝動たちのお陰だろう。

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衝動に突き動かされた出来事として一番印象に残っているのは、クイズサークルを大学で立ち上げると宣言したあの日のことだ。
その日は、人生で初めてクイズ大会に参加していた。クイズはアプリゲームで何度かしただけ。いわゆる早押しクイズはしたことがなく、当然早押しボタンなんて触れたこともなかった。

その日の朝、私は不安と期待でいっぱいだった。初めてクイズができるという喜び、初めてのクイズに仕方がないとはいえ大会という場を選んでしまった負い目、ぐちゃぐちゃの感情で、緊張で、正直真っ白になっていた。
まず最初にペーパークイズというものを行った。クイズを趣味としていない人向けに説明すると、クイズ大会では参加する組み分けやそもそもクイズの早押しに進む人間を選抜するために、本選の前に筆記でクイズを行うことが多い。一問一答の単語テストを思い浮かべるといいかもしれない。
この大会も多くの大会がそうであるように、ペーパークイズを採用していた。この日はペーパークイズの点数で参加できるコースの優先権が決まる……というものだった気がする。

正直、全然わからなかった。わからないなりに、必死に一点でももぎ取ろうと紙とにらめっこしていた。そこでひらめいたグラフを読み解くクイズ。今考えるとペーパークイズでひらめき系のものは珍しい気もするが、私にクイズを楽しいと思わせてくれたのはこの問題だった。
グラフを見て、私にはある花が浮かんだ。「そうか、桜だ」桜の開花に関するグラフな気がした(そして、それは正解であったことが後に発覚する)。
この一問をひらめいたことで「クイズ大会って楽しいじゃん」と思ったのだった。

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そうして、初めてのペーパークイズに大興奮した私は早押しボタンを前にした自己紹介で「クイズサークルを大学に立ち上げます!!!」と宣言。その時には大学四年間をクイズ以外に捧げる選択肢がなくなっていた。
その日の参加者に応援され、その日の夜には大学の名前を使ったアカウントを開設。帰宅してすぐ大学の学務に教室の借り方を聞き、その月のうちにサークルは発足してしまった。

サークルの運営は私の衝動で成り立っていた。

新歓でチラシを作るぞと決めたときも、小さいながら看板を作ったときも。衝動に任せすぎたせいで上手くいかなかったことも沢山ある。
けれど、私はクイズ王を前にして高らかに宣言したあの日の私に感謝している。
あの日の私が今の私を作ったのだ。