最後に恋をしたのはいつだっただろう。社会人になってからだいぶ時が経つから記憶がだんだんと薄くなっている。

今でも時々思い出す恋は、大学生のころの恋だ。当時私はあるサークルに所属していて、そこに参加していたのが四つ年上のサークルのリーダーの先輩だった。会うたびに色々声をかけてくれて、はじめは見た目からチャラそうな先輩だな〜と思ったが、自分をよく気にかけてくれて優しくて、リーダーシップもあってだんだん好きになった。

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サークルの活動はボランティア活動のようなもので、イベントに参加して子どもの面倒をみたり、イベントの補助をしたりした。
先輩とはLINEを交換して、一時間ほど電話をしたことが何度かある。男の人とほとんど電話をしたことがなかった私は耐性がなく、ドキドキした。電話の着信音が嬉しくてスマホを握る手に力が入った。電話口で食器を洗っている音が聞こえた。先輩は一人暮らしだ。なぜかすごくドキドキしていた。

ある日先輩が、ごはんに行こうと誘ってくれた。初めて男の人に食事に誘われて緊張した。何でも好きなものを頼んでいいよと言われた。いいのかな?アルバイトをしていて自由に使えるお金がある大人な先輩が眩しく感じられた。緊張していてステーキの味は覚えていない。

先輩の家に行きたいです。

したことのないメイクを勉強し、新しい服も買い、先輩の家に行った。男の人の家に行ったのは初めてで緊張していた。先輩はグラスにアイスティを入れてくれた。先輩のベットにも座ってしまった。肩に手が触れたときにドキドキした。
家に帰ると初めて描いたアイライナーが滲んでいるのがわかった。先輩の誕生日を聞き出してブランドのボールペンを渡した。とても喜んでくれたのを覚えている。

プレゼントを買うためにアルバイト代を沢山使ってしまって罪悪感を感じた。自分の誕生日のときには有名ブランドのネックレスをもらった。男の人からプレゼントをもらったことがなく、すごく嬉しかった。

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先輩の彼女になりたい。特別な関係になりたい。そう強く感じるようになった。

ある日、先輩と電話をしたときに、そのことを伝えた。その日から先輩の態度は真逆に変わってしまった。私をはっきり避けるようになった。態度がすごく冷たくなった。

ああ言わなきゃよかった。もう元には戻れないかな。謝罪のLINEを送ってもブロックされてしまった。もう後悔しても遅い。
苦しくて苦しくてたまらなかった。忘れるように色々とチャレンジをすることに決めた。
語学力はなかったが交換留学生の試験に合格し、海外留学ができた。留学のときも先輩のことを思い出して涙が出た。

何年もたった今でもその恋を思い出す。先輩はもう私のことをすっかり忘れているだろうし、私があげたプレゼントも捨ててしまったに違いない。
先輩との関係性が終わってしまったのはとても残念だけれど、その恋があったからこそ私は前に進み続けている。