理性や事前の計画など関係なく、気付いたら身体が動いていた。そんな経験の一つに栃木・宇都宮へのお一人様弾丸日帰り旅行がある。
◎ ◎
埼玉で一人暮らしをしていた頃のある土曜日の朝、目覚めたと同時にふと無性に餃子が食べたくなった。元々餃子が大の好物で、いつか宇都宮餃子を本場で食べたいと思っていた。そしてこの日、栃木県・宇都宮へ弾丸で行くことを決めた。友人を誘う時間もなく、そこからすぐに準備をして、行き方を検索し、すぐさま家を飛び出した。
関西出身の私は、埼玉に住んでいる間にいつかは宇都宮へ行きたい、とずっと考えていた。ただ、結構な距離の遠出になるし、せっかく行くなら一人ではなく友人などと行きたいと思っていた。それなのに、この時は「餃子を食べに行きたい」という単純で純粋な(?)欲求がその気持ちを上回ったのだ。
◎ ◎
8月の灼熱の暑さの中、無事に宇都宮に到着した。せっかくなら餃子を食べるだけではなくて、現地観光も楽しもうと思い、観光センターで宇都宮の観光情報を教えてもらった。そこで教えてもらった大谷資料館にも足を運ぶことにし、宇都宮駅からバスに乗り、しばらく揺られていると無事に到着した。
大谷資料館は地下採掘場跡になっており、『翔んで埼玉』などの有名な映画のロケ地として使用されることが多々あるそう。映画好きのわたしにとって想定外のとても楽しい観光になった(それに何より、地下の採掘場跡だったので避暑として最高だった)。
そして周辺の観光地も少し巡り、ひと段落ついたところで疲れ果て、腹ペコで且つ汗だくの状態で念願の餃子を食べに向かった。人気の餃子店が一同に集まっている「来らっせ 本店」で念願の宇都宮餃子を食べた。(宇都宮初心者且つ一人弾丸旅の身にはとてもありがたい)餃子はとても美味しかったし、大満足だった。腹ペコだったお腹も満たされた。ただ、それと同時に「この美味しさを誰かと共有したい」と感じた。
一人旅は自分の好きなように観光できるし、好きなタイミングで好きなものを食べることができるという素晴らしい醍醐味がある。ただ、やっぱり美味しいものや綺麗な景色に出会った時にその瞬間を大切な人と一緒に共有したい…とその時に切に感じたのだ。
◎ ◎
突然思い立って一人旅することも良い。リフレッシュになるし、現地での新しい出会いなど一人旅だからこその良さもある。二十代中頃までは一人旅が好きで、今回の宇都宮への弾丸旅行のように、休みがあれば一人で色々なところへ足を運んでいた。ただ、二十代も後半となり三十路に差し掛かってきた最近では、「誰と何を共有するか」を重要視している自分がいる。これからさらに年齢を重ねるに連れてこの考え方もまた変わっていくのかもしれないけれど…。
今の私は誰かと「共有すること」に重きを置いていると、そんなことを考えさせられた宇都宮へのお一人様弾丸日帰り旅行だった。今回はお一人様だったが、次回は友人や家族と一緒に旅行をして現地での感動を共有したいと思う(それに日帰りではなく、宿泊ありでゆったりと)。