高校一年生の頃、スマホ使用の許可が親からおりた。
初めて買ってもらったスマホで始めたのは、LINEとTwitter。
そのTwitterで出会ったのが当時の彼女だった。
◎ ◎
趣味が同じということで繋がった彼女とは、共通の話題や時にはたわいもない話で盛り上がった。
そんなある日、彼女は私に好意を伝えてきた。
私は正直、全く、本当に1ミリも好きじゃなかった。
会ったこともなかったし、話の合うネット上の友達くらいに思っていた。
だからしっかりとお断りした。
しかし彼女は次の日も、その次の日も、ほぼ毎日のように好意を伝えてきた。
もちろん毎回丁重にお断りしていたが、2ヶ月くらい経つ頃には、断りきれなくなっている自分がいた。
そして3ヶ月が経った頃、特に何があったわけでもないけれど、唐突に彼女が可愛くて仕方ないように思えた。
私はその日の彼女の告白に私も好きだと返答した。
彼女は、しっかりしていて行動力があり、甘えるところは甘えてくる可愛らしい人だった。
◎ ◎
私はこの時、わかりやすく高校生だった。
彼女が他の人と仲良さそうにしているのを見ると嫉妬して、すぐにあたった。
好きなんて言葉にした事はほとんどなかったと思うし、むしろツンツンした態度だったと思う。
それなのに彼女はいつも好きを伝えてくれていたし、私に冷たくあたることなんてなかった。
いつも笑顔で、拗ねる時だって可愛らしさがあった。
付き合って11ヶ月、春休みだった私たちは、ふたりきりで旅行をした。
直線距離でも600km以上の遠距離だった私たちは、2、3ヶ月に1度、3、4日会うのがやっとで、会うのは3ヶ月ぶりだった。
会った時から様子がいつもと違ったのをよく覚えている。
出会い頭に抱きついてくることもなく、並んで歩いても手を繋ぐこともなかった。
全てを察した。
いや、正確に言うと、SNSや電話での彼女の様子で薄々気づいてはいた。
案の定、旅行を終える頃、彼女から私たちの関係の終わりも告げられた。
◎ ◎
この時既に私は、彼女のことをとても好きになってしまっていた。
たった一言で終わりにはできないくらいに。
でも終わりにしないといけなかった。
気づくのが遅いのなんて100も承知だが、やっと気づいた。
私が彼女に何も伝えていないことに。
この日から、とまでは言わないが、私はこの恋をきっかけにすごく変わったと思う。
それ以降の恋人にはしつこいくらいに言葉でも態度でも好きを伝えていった。
多分あの頃の自分がこのことを知ったら、恥ずかしくて堪らないだろう。
でも何が大切かを考えれば、たとえ恥ずかしくても間違いなく伝えた方がいいことを知っている。
また彼女と遠距離だったおかげか、ひとりで遠出することにも抵抗がなくなって行動力もついた。
行動力がつくと、様々なことに触れられるようになった。
◎ ◎
趣味といえばアニメばかりだった自分が、今では多趣味だねと言われるまでになった。
彼女のおかげで、私という人間が大幅にいい方に進んだと思う。
私は今の自分が好きだ。
好きな人こそいないが、好きだと思えることがたくさんある。
あの時、彼女が私を好きになってくれて、彼女と恋ができてよかったと思う。