私にとって、人生で忘れられない恋といったら1つしかない。今の夫を心から愛していることだ。夫とは22歳の時に出会い、23歳の時に結婚した。今年結婚2年目で、今ももちろん好きな人である。

たった23歳だった私が、夫を人生で最後の人と決めた理由は、これ以上ないくらい好きになったからである。20代前半で交際期間もそう長くない状態での結婚となると、「もう決めていいのか」と聞かれることが多々あった。

心配になる気持ちもわかる。でも私は、これ以上の愛情はないと確信しているし、これ以上は一生知る必要がないのだ。もし今後家族として生きる中で、夫への恋心が覚める日が来たとしても、愛おしくて仕方ない今日があれば、ずっと一緒にいられると思っているのだ。

◎          ◎ 

夫との出会いは結婚相談所。22歳までほとんど男性を知らなかった私は、このまま自然な出会いを夢見ていても叶うはずないと確信していたのだ。でも結婚がしたかった。家庭を築きたかった。なので、就職してすぐに結婚相談所へ入会した。

恋は求めていなかった。結婚したい人たちの集まり。お互い条件や見た目が重要な判断材料となる。好きでなくていいから、好きになってくれなくていいから、生涯のパートナーが欲しかった。

入会して3か月が経った頃、夫と出会った。確か、10人目くらい。10人近く会っていて、誰も好きにならなかったので、夫のことも好きになることはないと思っていた。ただ、10人のなかで唯一私の条件を完全に満たしていたので、真剣交際に進むことにした。

その時点では、まだ好きではなかったと思う。好きだから一緒にいたのではなく、次を探すのが億劫だったから一緒にいた。……はずだった。

◎          ◎ 

ようやく好きだと自覚したのは、ある日の週末。私の家に来ていた夫は、理由は分からないが冷たい態度のまま早々に帰宅してしまった(後から聞いたら、単に寝不足だったらしい)。空になった家に残されたとき、私はひどく悲しくなった。このままもう二度と夫は来ないのではないかと怖くなった。私の心が、夫を求めた。時間がたっても虚しさが消えず、耐えられず電話をした。

私は人生で初めて「寂しい」と言った。他を探すのが面倒だから会っていた人のはずだったのに、いつからか、私の中ではいるのが当たり前で、側にいてほしい存在になっていたのだ。夫はすぐに私の家まで再度来てくれた。私は、自分でもわからないほど涙が止まらず、初めて男性の前で泣いた。

今まで男性に弱いところを見られるのが嫌だった。でも、夫の前では子供のように泣いた。私は初めて夫に好きだと言った。夫は初めて私に好きだと言った。愛し愛されることの温かさを、私はそのとき初めて知った。

その日を境に、私にとって夫は紛れもなく大切な人となった。会いたくて会うようになった。それから半年ほど経って同棲をはじめ、半年ほど経って入籍をした。それから約1年半。もうすぐ愛する息子が生まれる。