明日は早番なのに、韓ドラが面白くて結局夜更かし。あと少し、あとひとつと言い聞かせても、空になるお菓子の袋。心と身体なんて繋がってないよなあと、自分の意志の弱さを棚に上げて、今日も自分を甘やかす。

それでも身体が勝手に動くときは、悪いことだけではなかった。

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海外留学に行くと決めた19歳の私は、海外に行ったこともなければ国内でさえ1人で旅行に行ったこともなかった。それでもアルバイトで必死にお金を貯め、パスポートを取り、申し込みを済ませた。

「行動力あるね」

そう言われるが、普段からそういうわけではない。よく言えば謙虚、悪く言えば自信がなく人任せで、姉貴肌の友人たちに守られてきた。

それでも今回は本当に1人。留学会社を通したとはいえ、現地空港からホームステイ先の家までの片道以外、節約のためオプションは全て外した。たった3週間の留学とはいえ、アルバイトでできる貯金には限度がある。12時間のフライト、乗り継ぎ、ホームステイ先から語学学校への通学、ホームステイ先から空港までの帰りのバスやタクシーの予約。

全部本番ぶっつけだ。今では信じられないけど、ポケットWi-Fiの契約すらしなかった。無料Wi-Fiスポットもあるし、なんとかなるっしょ。軽い気持ちだった。

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早速その判断が私を苦しめる。時間通りに来ないと有名なバス。やっと来たバスに乗って学校の最寄りで降りるも、全然学校の看板が見当たらない。早めに家を出ていたものの、時間はあっという間に過ぎていった。

「Excuse me」

考えている時間はなかった。近くにいた人に、日本から印刷して持ってきた学校の写真をみせ、手当たり次第に聞いて回った。
そして幸運にも、その学校に通っている女の子に出会え、学校まで一緒に行くことができたのである。

初めに学力テストがあり、私は初級クラス。案内してくれた女の子は流暢に英語を話していたから、期待はしていなかったけどやっぱり別のクラスだった。
そして初級クラスとは思えないほど、周りの人の話し声は流れるように私の耳をすり抜けていく。

ハロー、とぎこちない笑顔で隣の女の子に話しかける。多分会話は成り立っていなかったけど、良かったら一緒にランチを食べる?と思わしきことを言われ、喜んでついていった。

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ランチを購入するためにむかった飲食店で、偶然にも朝道を教えてくれた女の子と再会した。同じクラスの女の子とはすでに知り合いらしい。そこから交流が始まり、ランチやイベント、休日に少し遠くまでお出かけする仲になっていった。

人任せにできない環境が、私を動かし、新しい世界へ連れていってくれた。
出会った2人の女の子を通じて、さらに出会いの場が広がる。それが本当に楽しかった。インターネットで世界中の人と繋がれる世の中だけど、同じ場所で同じ空気を吸い同じ時間を過ごす。それでも文化や第一言語、それぞれが帰る場所は違う。不思議な感覚だった。

その中の1人の友人とは、留学先でお別れしたあと、それぞれの母国で一度ずつ再会した。同じ日本にいても疎遠になっていくご縁もある中で、その子に出会い関係が続いていくことが本当に嬉しい。

人間はそんな簡単に性格なんて変わらない。今でも私なんか全然できなくて、人に甘えて頼ってしまうことの方が多い。
気まぐれに訪れる行動力や衝動も楽しみつつ、今日も自分を甘やかす。