私は滅多に人を好きにならない。それは恋愛に限ったことではないのだが。

そんな私でも、たまに恋をする。自分でも驚いているが、11年ぶりに好きな人ができた。あの恋と言うにはまだ日が浅いが、あの恋と言わざるを得ない状況である。

ひょんなことから私の人生に現れたその人は、今は恋人を作らないようであった。自分の掲げた目標に全力を注いでいる。その姿にもまた惹かれてしまう。

ごく稀に恋に落ちる私は、片手で数えられる恋の全てが片想いだった。その人に好きな人がいたり恋人ができても、それを知った時に少し傷つくだけで、その人がそこに居てくれるだけでいいと思えていた。

でも今は、あの人に好きな人ができたり、恋人ができてしまうことを恐れている。人生で初めての胸のざわつきを覚えている。

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無理目な恋であることは今までと変わらない。特にその人と仲がいいわけでもない、知り合い程度。多分あの人の好みのタイプでもない。それも今までの数少ない恋と一緒。だからこそ諦められていたのかもしれない。

でも今は違う。この無理目な現状からのし上がりたいと思ってしまっている。もしかしたら、本当に心から人を愛してしまったのかもしれない。

これまでは、「その人が幸せならそれでいい」という考えだった。それが今は、「私はあの人と幸せになりたい」とエゴまみれの思考になっている。人間の汚い部分を自分の中に見つけてしまって、こんな人間を好いてくれる訳がないと、絶望したりもしている。

その人との運命を信じたくて、ツインレイについて調べて一致するところだけをインプットしたり、YouTubeの占いリーディング動画を何本も観たり、実際に店舗へ行って占ってもらったり。

ここまで必死に恋を追いかけている自分が怖い。なにぶん経験がないもので、どう行動していいかわからない。行動したところで、今恋人を必要としていないあの人の前では無力な気もしている。

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内面的には落ち込むことの方が多いが、外面的には得たことがたくさんある。服に無頓着だった私が、自分に似合う服装を考えるようになった。相手の好みに合わせないあたりは、これまで通りの私だったのも発見であった。それでも、少しでも「良く」見えるようにという基準で服選びをしている。

適当にしていたメイクも、今時の雰囲気になるように様々な媒体から情報を得ている。これは若作りに見えてしまうかもしれない恐怖との戦いでもある。しかし、自分がいいと思ったものを信じる私なので、好きな人に疎まれる以外ならなんでもいい。ダイエットにはなかなか成功しないが、浮腫を取る術を身に付けたおかげで、顔の輪郭がシャープになった。

他人がいるおかげで自分が見えてくるのは、恋愛だけに限ったことではない。私は他人との関わりを避けて生きてきた。それ即ち自分を見ないようにすることでもある。

久しぶりに恋をさせてくれたおかげで、良くも悪くも自分を見つめ直すことができた。新しい自分を知ることもできた。初めての経験は怖さが付きまとう。叶えたいとは思っているが、今のところ叶わないであろうこの恋。いつかの私が、「あの恋があったから今私は輝けている」と思えるように、後悔なく今を生きていたい。できれば、今好きなあの人の隣で。