就活が落ち着いた時、内定をいただいた2社で迷った。
正直、この2社で迷うだなんて思いもよらなかった。
なぜなら、幼少時からの第一希望の会社があり、そこから内定が出ていたからだ。仮にこちらをA社とする。A社は、やりたいことを専門的にバリバリやれる会社だった。一方で、専門性が高いため、統括的な仕事はできない。
もう一つ悩んでいたB社は、A社を統括する会社だ。一般的には、B社のほうが全国的に名前を知られているし、普通の人ならB社を選択すると思う。

A社、B社2社とも内定を得て、私はどちらにするか悩み出した。正直自分が悩むだなどと思ってもいなかったので、私はひどく混乱した。
悩んでいた当時、悩む理由は給料の違いだと思っていた。B社の方が高いのだ。お金のために働かない、をポリシーにしていた私にとって、お金で悩んでいること自体、なんだか自分の哲学が変わってしまったようで、しんどくなった。

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結局私はA社にした。小さい頃の私の選択を信じよう、そう思ったからだ。それでも、入社までの1年、悩みに悩んだ。この選択で正しかったのかと問い続け、当時は正直かなり苦しかったと思う。
入社してからもこれでよかったのかな、とう気持ちは拭えなかった。会社の人には、小さい頃から来たかったんです!と言いつつも、心のどこかで引っ掛かるものがあった。

そんな時、父親が言った一言が、B社にすればよかったのに、という言葉である。それも理由は給料が高いから。傷ついたのはもちろん、それ以降、仕事の選択を尊重しない父親のことを許すことができず、2年もの間、一言も口をいていない。

友人によく相談するもよく言われることがある。B社の方が憧れだしね、B社の方が名が知られているしね、B社はビジネスクラスで海外出張に行ける、B社は……。
聞けば聞くほど、自分のやりたかったことはB社の方ができたのではないかと思えてくる。所属している会社のA社の人たちは、自分たちはB社のいいなり、と卑下する人たちばかり。憧れて入ったはずが、これでよかったのか、という気持ちで胸押し潰されていく

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悩んでいる理由はもちろんそれだけではない。A社は優秀な人たちばかりで自分がついていけていない気がする、A社で今やりたいことがやれていない。

でもそこではない。周りにもすごいと思われない、親も友人も認めてくれない、そして会社の人自体が自らを否定的に見ている。

A社に入りたかった理由はそれなりにきちんとある。しかしそれが成し得てないどころか、都合のいいことはうくせに、ミッションを成し遂げようとさえしない会社の風土がはびこっている。

この風土と今戦おうとしてはいるものの、なかなか妙案は見えてこない。一度、提案をしてはみたものの、話を聞いてくれただけだ。私の意見を理解してくれる人は一定数おり、また同じ意見の役職者もいるものの、まだキーマンに意見を伝えられるほど仲良くなれていない。私の問題もあるが、向こうもこれ以上親しくなろうとしていない雰囲気すらある。

自分が変わるか、会社が変わるか。私はまだ、その道を描き切れていない。