我が家には、記念日が年五回ある。四人家族なので、それぞれの誕生日と、両親の結婚記念日だ。可笑しいのは、祝う日付が毎年一緒なことは分かるが、会話までもがルーティンなのだ。

まずは、結婚記念日と両親の誕生日から見ていこう。

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結婚記念日は三月二十八日、母の誕生日は三月三十一日、父の誕生日は四月二日だ。記念日には、家族でケーキを食べると決まっているから、六日間で三回ケーキを食べることになる。

贅沢な話だが、正直多い。多いことは家族全員が分かっているから、その年の土日を鑑みて、調整したりもする。例えば、両親の誕生日はまとめて土曜日に祝う等。だが、そうすると、大概反動が来る。主に母が。「ケーキ食べようよ~。だって今年は一回分少ないじゃん」母の発言権は大きいので、結局ゴールデンウイーク辺りに、食べることになる。だが、一回分祝っていないという大義名分がある為、記念日ではないが、皆で堂々と食べる。

さらに、結婚記念日と両親の誕生日には、お決まりの会話がある。一つ目は、母が二十九歳になる直前の、三月二十八日に二十八歳で婚姻届けを提出したというエピソードだ。そしてこれには、「あの時はすごく遅い方だったけど、今じゃ普通よね」という会話が続く。ちなみに、両親はスピード婚なのだが、そこから長女である私の方に話題が波及して、「みおも何があるか分からないから、アンテナは常に立てておくのが良いわよッ」という会話で締まる。

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結婚記念日はこれで終わりだが、次は両親の誕生日だ。

これがまた厄介で、父は母より二個年下なのだが、二人の学年は三つ違う。というのも、四月一日までは前の学年で、四月二日からは後の学年になる為だ。

つまり、昭和X一年三月三十一日に母が産まれて、二年後の昭和X三年四月二日に父が産まれた。学校に入るとなると、昭和X一年三月三十一日産まれが高校一年生だとすると、昭和X三年四月二日産まれは、年は二個下だから、中学校二年生だが、中学校二年生は昭和X二年四月二日から昭和X三年四月一日までの為、母が高校一年生の時、父は中学一年生になる。

お分かりいただけただろうか……?家では大概、本人達も混乱している。

ただ、話が整理されると、母が「私が高校一年生の時に、パパは中学一年生なんて、気持ちわるいわね、ははは!」と言って締める。

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次は、私と妹の誕生日だ。二人とも夏生まれだが、ひと月違うのでケーキが重なることはない。だが、会話がルーティンな点は、結婚記念日及び両親の誕生日と一緒だ。
まず、妹の誕生日は、妹が出産予定日より早く産まれたことが母より讃えられる。どうも、当時ピークにお金がなかったらしく、妹があと一日早くても、また一日遅く産まれたとしても入院代を払えなかったそうだ。

最後に私の誕生日。毎度毎度、産まれてくることが遅かったことに文句を言われる。何でも、私が産まれた年は、珍しく父のお盆休みが一週間もあり、その休みの間、父は毎日病院にお見舞いに行っていたが、私はちっとも出てくる気配が無く、休みが終わり月曜日になって急に産まれたそうだ。だが、出産予定日とはぴったりだった為、「あの時から、みおはみおなんだよなぁ」と言われる。

お祝いごとが好きか嫌いかで言えば、好きだ。なぜなら、家族の愛情を感じられるからだ。誕生日や記念日となると、思い出話に花が咲く。食事時間もいつもより長くなり、家族団らんする。

私は、こんな家庭に産まれて幸せだったなと思う。それと同時に、もし私が家庭を持ったら、子供達に両親がしてくれたことと同じことをさせてあげたいなと思う。「誕生日おめでとう」「結婚○周年おめでとう」は家族の愛の言葉だと思う。