見つけたらうれしくなるもの。あまり見かけないけれどふと出会えるもの。そのひとつがセブンティーンアイス。

わたしはこの夏、できるだけたくさんのセブンティーンアイスを食べようと思う。セブンティーンアイスは幼少期にプールの帰りに買ってもらったり、近所の本屋の駐車場にひっそりあったり、ふわっと現われる。

なによりセブンティーンという響きが爽やか。お手軽な青春。

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5月上旬。高校からの友人と早めの夏を迎えた。初夏ともいえるような気温と風に吹かれながら、お仕事がお休みの友人に車に乗せてもらい地元の大きめな公園に向かう。

マクドナルドをテイクアウトして、レジャーシートを敷きプチピクニックを開催する。体調の、恋バナ、最近見ているよいアニメとかを共有する。食べるものがなくなって話すこともひとしきり過ぎ去った頃に口がさみしくなる。そんなときに現われてくれるのが、セブンティーンアイス。

幼少期よく食べていたのは、水色とクリーム色がしましまになったソーダフロート味。この何味を食べるか迷っている時間がたのしい。迷った末カラフルチョコ味を買う。結局友人も同じ味を買い、ふたりで同じ味を食べる。友人はアイスを買ってカラフルチョコをかけて家で食べていることも教えてくれた。

友人はツムツムにもはまっているらしくて隣でアイスを食べながらツムツムをしている。「ももちが隣にいるというのにツムツムをしているなんて…」と言いながら素早く指を動かしている。流れる時間は穏やかなのに、あっという間に話題がはねていく。おもしろいだ。

「1回でいいからさー、カレンダー通りに働いて休みたいんだよね」と、犬をつれた家族を見ながら友人がぽつり。人間は毎日ちいさな憧れをふと抱く。そしてきっとその小さい憧れは溶けてしまう。時折現れる憧れは現実味が無いふわふわしたイメージだから都合が良くていい。

わたしはアイス食べることだけに集中していたのに、溶けたアイスを服にこぼした……!友人が「ほらまたやったー」とツムツムをしている手を止めてティッシュをくれる。わたしはアイスを食べることが下手くそだ。ツムツムの人に負けた、くやしい。

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同じアイスを分け合わずにひとりひとつ買うように、きっとわたしたちはそれぞれの持ち物を己に従って決めてきた。そうでいながら、ひとつの車にふたり乗り、ひとつのレジャーシートにふたりで日向ぼっこをし、ひとつのベンチにふたりで座っている。

ほんとうの意味で人はひとりだとわたしはずっと思っていくのだろうけれど、そんなことたまには忘れていいんじゃないだろうか。わたしはセンチメンタルになってしまう頭と心を紛らわすかのように、甘ったるいアイスを食べている。

だからこの夏もその先の夏も、溶けていく憧れのような理想を口ずさみながら、たまにふわっと現れるセブンティーンアイスをだいすきな人たちと食べたい。できるだけ独りよがりにならないような夏になりますように。心で祈りながらアイスを食べる。

セブンティーンアイスは、食べればいつでも小さな夏とささやかな青春を爽やかに連れてくる。