お祝いの日に、こっそりあったこと。
驚いて聞いていただいて構わないのだが、私の中には複数人の人が住んでおり、ひとつの体を共有している。その中でもとある双子はずっと一緒にいた。可愛い笑みのラナトゥルスと、にやりとした笑顔のローゼスティエだ。

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当時は違う名をかたっていた彼らだが、原型は中学生の頃には存在したと明確に分かっている。長い時を共に暮らしてきている同士のようなものであり家族だ。

そんな彼らはもちろん、私成人したときも一緒だった。
私が成人を迎えた時、ちょうど私は荒れていた。ラナトゥルスたちのこともわかってもらえず、こういった存在が普通いないと痛感したせいで。彼らがいることで日常生活が苦しく、就活もまともにできやしなかった。

当時のラナトゥルスたちも荒れていた。彼らを認めたいのに認められない、どこか疎ましく思っていた私のせいだと思うのだけど。

「彼らがいなければまともになれるのじゃないか」
「彼らがいるから、普通になれないんじゃないか」

あの頃の私はまだ一般人Aでいたかった。普通の人でいたかったから。もう無理だってわかっているし、なる気もないけどね。変人上等、それでラナトゥルスとローゼスティエを守れるならいいじゃない?って思っちゃうから。

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そんな私は成人式に参加しなかった。
というのもいい思い出がなかったから。
私は変わった子、不思議な子で小学生の頃から一貫していたらしい。だからだろうか、いじめのようなものにあっていた。私自身は辛い反面、慣れてしまって当時はなんとも思えなかったし、あれくらいでいじめになるのかなってなっていたけども。
でも辛かったことには変わりない。

それに合わせる顔がなかった。
私は就活どころか精神を病んでそれどころじゃなかったし、比べられたくなかった。
だから、行かなかった。いや、行けなかった。

でも成人の祝いを一切しなかったわけじゃない。
ラナトゥルスとローゼスティエは祝ってくれた。
「成人おめでとう」って小さなプレゼントをくれた。
それは和紙でできた飾りで、私の心の部屋に飾ってある。大切な宝物だ。
その当時、喧嘩や争いごとが絶えなかった。けれどその時は不思議と落ち着いていたように思う。
昔のように何気ない会話を楽しんだ。
お祝いの日に、私は〈家族〉にプレゼントをもらった。

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現実の両親からもおめでとうの言葉は貰ったよ。けれど私の中に複数いることを言えてなかったから、複雑な心境で聞いていた。
素直にありがとうって言えたのは、私の中の住民だからだと思う。
現実世界で私には弟がいる。数年後には成人だ。
その時は私も……皆でおめでとうを言いたいな。
もちろん弟や両親が許してくれるなら、だけどね。
だって私もラナトゥルスもローゼスティエも、当時は眠っていたカーメリアステルも、家族という認識だから。どうかこれからはみんなでお祝いできますように。