大人になってからというものの、夏が楽しい。この大人というのは、20歳を超えたあとよりも、働き始めてからのこと。お金に自由が効くようになって、お酒が呑めるようになり、車にも乗れるようになった今こそ、夏を本当に楽しめるようになったわけだ。

そういえば、私は子供の頃から「大人の夏」に物凄く憧れがあった。

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私が小学生の頃。父親の友人が大勢集まったことがある。友人たちの奥さんに、子供たちに大人だけでも10人以上いたような記憶がある。私はその集まりが、子供ながらに大好きだった。「大人の楽しい」が全て詰まった遊びだったから。

大学生のときからライフセービングをしていた集まりらしく、海にゆかりがあるメンバーなので集合はお決まりなようで、富津海岸。父親に海での泳ぎ方や波の乗り方を教えてもらったりと、海でひたすら遊んだら、浜辺でバーベキュー。

お肉を焼いてもらって、マシュマロも焼いて、名前も知らないけれど父親と仲の良い大人たちと喋って、名前を聞かれて、砂の上に名前を書いて見せて、可愛がられて、恥ずかしくなった。

大勢の大人とラーメン屋さんに行って、初めて聞く「音頭」のある乾杯をして、そのお店で1番辛いラーメンを頼む大人の男の人たちを見た。食後のデザートとしてコンビニに行って、全員分のアイス代を賭けたジャンケン

今思えば、大人たちの本気のジャンケンを見たのはあれが最初で最後かもしれない。お店の前で、気合十分の掛け声でジャンケンをする大人たち。どうしても、自分の両親が負けてしまわないよう祈る。両親は早めに勝利して、父親の友人の奥さんが負けてしまった。

なんでも選んでいいよ!と言われ、好きなアイスをカゴに入れた。今でもよく覚えてる、大人大勢と子供たちのアイスは5,000円を超えていて、小学生の私からすると、お年玉で貰えるよりも高額のアイスに縮み上がった記憶。

よく知らないお姉さんが払ってくれたアイスを、ちょっとの罪悪感を感じながら食べて…そこからまたひとしきり遊んだら、それぞれの車で帰路に着く。

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あの時からかもしれない。私の「夏」と「大人」が確立したのは
あの時の記憶こそが本当に楽しかった夏で、楽しい夏の過ごし方で、正しい大人の遊び方なような気がしている。

あの記憶ばかり追いかけている。私も結婚していつか子供を持ったら、あんな風に私の友達を沢山集めて、みんなの家族も集めて、自分の子供に沢山の「大人の夏」を教えてあげたい、なんて

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働き始めてから、まだまだこの感じに慣れず、友達もどんどん忙しくなっていっている。実際にこれを叶えられるようになるには、友達にも恋人が必要だし、車も必要だし、足りないことがいっぱい。

でも、友達に会えないようになっていって寂しい思いがあったけれど、そんな寂しさも埋めるほど素敵な理想だと思える。この夢が叶えられるように、今は精一杯頑張れそう!素敵な夏の思い出が、思い出のまんまじゃなくって、新しく次の世代の夢になったらいいな。

大きな夢と理想をくれた大人の夏、待ってて!