おそらく誰だって小さな嘘をついたことがあると思う。
例えば、家族が取っておいたアイスを食べたのに「食べてない!」と言ったり、部屋を片付けていないのに「え?片付けたけど?」とすまし顔をしてみたり……。
私も未だに、実際にはよくわからない話に対して「あー!確かにそうだよねぇ……」といかにもわかってるフリをしてしまうことがある。

話す相手が誰だとしても、なるべく嘘はつきたくない。でも、“小さな”嘘なら許される!相手を傷つけない程度なら大丈夫!と思ってしまう自分も存在する。
“小さな”嘘が厄介事を引き起こすことを、私は知っているはずなのに。

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私が小さな嘘のせいで、厄介事を引き起こしたのはおそらく中2の頃。恋愛話をしているときだった。私はその時期、全く恋愛というものがわからなかったが「アー、ワカルワカル……」と適当な相づちを打って恋愛話に参加していた。

友達A「Bくんってかっこいいよね!」
私「アー、ワカルワー」
友達A「モテそうだよねー!」
私「タシカニソウダネ」

……とあたかも友達と同じ気持ちを抱いているかのように反応していた。
頭のなかでは「かっこいいとかわからん。基準とかあるのかな?」とボヘーっと考えていたが、この嘘混じりの適当な返事が後々厄介事を引き起こすことになる。

ある時、こんなことをとある友人に言われた。
「すももちゃんってBくんのことが好きなの?」
エ?????と思った。頭のなかは大混乱だ。そもそも、友人にはBくんの話をしたことがないし、私はBくんに全く興味がない(スマヌ、Bくん)。ただなんとなく別の友達が「かっこいいね!」といった言葉に対して「カッコイイネ」と同意しただけだった。
そのことを友人に話すと、納得したような顔をしていた。

私が友人に「その話(私がBくんに好意を抱いていること)をどこで聞いたのか?」と聞くと、噂で聞いたと言った。
噂の出処は……私が言わなくても、これを読んでいる人にはおそらく察しがついているだろう……この噂を流したのは友達Aだった。

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なーーんで噂を流したのか……私は適当に相づちを打っていただけだったのに……。
いや、それがいけないんだけれども。
では嘘をつかずに「Bくんがかっこいいとかよくわからない」と言ったほうが良かったのか……?そう言って友達の反応が無になるのも怖い……。
脳内がぐるぐるとしていたものの、人の噂も七十五日。いずれ噂はきっと無くなるだろう!!!……と思っていたのだが。

噂が広がってからというもの、Bくんの距離が以前よりも近い。
全く話したこともないのに話しかけてくるし、やたらと距離感も近いし、「メールアドレス交換する?」とか言ってくる。
そしてまた新たな噂が立った。
「すももとBくんは付き合ってるらしいよ……」
その噂を友人経由で聞いたとき、頭のなかで「付き合ってないわ!」と上履きを床に叩きつけてしまった。

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こんなことになるなら適当なことを言わずに本当のことを言えばよかったと後悔した。
相変わらずBくんは距離が近かった。距離が近ければ噂にもなりやすい。
私は噂を払拭するために、Bくんと物理的に距離をおき、メールの返信も切りがいいところで終わらせて何も送らないようにした。すると、次第に向こうも私に対して興味を持つことがなくなり、関係は自然消滅していった。
「最近、すももちゃんとBくんが別れたらしいよ」という噂も流れた(実際はつきあってもいない)が、それを機に噂もパッタリと無くなった。

小さな嘘が噂話になると、自分の知らないところで別の物語が誕生することもある。
そしてその物語に火がつくと、自分では消化しきれないかもしれない。
みなさんも小さな嘘をつくときは用心してくださいませ……。