「運動大好き!スポーツ観戦大好き!オリンピック必ず観ます!」

のような熱血なタイプの人をテレビで見かけるだけでも以前は暑苦しいと感じていた。私の周囲にはそこまで運動好きな人はいない。類友なのだと思う。
たまたま入った定食屋さんで野球の中継が流れていても、その熱の入ったアナウンスが耳障りに感じていたし、

「人々は何故動くことに熱中し、そんなに心を動かされるのだろう?何が楽しくてやっているんだろう?」

と不思議に感じて仕方がなかった。

社会人になって男女揃ってみんなゴルフをし始めるのも意味が分からないと思ってしまって、上流ぶりたいとかビジネスのためにという気持ちだけでやっているんじゃないかとうがった見方を今でもしてしまう。

自分の中にそういう気持ちがあるからそのように思うのだという声がどこからか聞こえてきそうなものの……。

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中学生の時、半年とうわずかな期間ではあったが卓球部に所属していた。中学入学後、小学校から持ち上がりで仲良くしていた友達がみんな卓球部に行くというので別にやりたいわけでも興味があったわけでもなかったが卓球部に入った。
友達の中で流し流され生きていたので、当時は自分の意志など持っているようで持っていなかったのだと思う。中学校での部活は強制だったので、何かしらの部活には入部する必要があった。

入ったら入ったで楽しくなるものなんじゃないかと期待したものの、最初はずっとラケットの上でポンポンポンポン玉突きをしてその回数を尊敬できない人格の先輩に報告するという至極退屈なもので、私にとっては苦痛でしかなかった。

下積み期間に不満を持つなど、後輩失格なのだろう。
慣れてからは隣の市の中学校の体育館へ行って試合に出させてもらったりもしたものの、運動神経の鈍さと天性の鈍臭さによって残念ながらチームに貢献することはできなかった。

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点数を競い合って勝ち負けを決めて優劣をつけて、それが一体果たして何になるというのか?人類のあらゆる問題が解決するとでもいうのか?という気持ち自体は今も変わらないものの、人よりもゆっくり成長する過程で"そういうもの"なのだと受け入れる心の余裕が年々出てきた。

受け入れることによって楽しむ心も徐々に育まれてきたのか、ここ数年はテレビでスポーツ中継が行われていると少し興味が沸くようになって観る時もある。大谷翔平選手のような人間的にも尊敬できると個人的に思う選手のことは、注目してしまう。

そしてダイエットきっかけで筋トレをするようになった。7年ほど自重トレを継続している。「脳筋(脳みそまで筋肉)にはなりたくない!」と思っていたのに人の心というのはとかく移ろいやすいもので、一時は「筋肉しか勝たん!」という気持ちになってプロテインをガバガバ胃に流し込み、YouTubeで男性ボディビルダーの動画を見ながらバーベルを買って上げていたこともある。極端すぎて自分でも笑けてしまう。

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ジムに通った時もあったが、人目が気になるしウォーキングマシンで歩いている途中隣のおじさんに突然、「姉ちゃん結婚しとらんのか?」と話しかけられてから嫌になってしまって、結局は自宅での自重トレに落ち着いた。
今は病気の薬の副作用で筋肉が落ちやすくなっているので、軽い筋トレをしただけでも息が切れるという悲哀を日々味わっている。

スポーツと一口に言っても、チームプレイと個人プレイとがあって私は個人プレイ向きな性質だから筋トレを継続できているような気がする。それぞれの性格に合ったスポーツに出会えれば、運動嫌いでも楽しめるのではないかなと思う。

スポーツとの距離感は年々縮まってきていると思うので、いずれはもっと仲良くなれることを願う。