私が住んでいる町には、地域に愛されているお店がたくさんあります。

ある地域チェーンのスーパーもその1つです。お店の目印は、緑色で店名が書かれた看板。スーパーで売られているビニール袋を模した店名の頭文字のマークが入ったエコバックも可愛らしい。そして、「いらっしゃいませ」の声が店内に響き渡るような活気のあるスーパーです。

私が好きな場所は、パンコーナー。パンコーナーに行くと、ふわっと鼻腔をくすぐる焼きたてのパンの香りがします。パンコーナーは、野菜売り場と魚売り場の先にありますが、パンコーナーに行く前から気持ちがほくほくします。

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そのスーパーのパンコーナーに一歩足を踏み入れると、15種類くらいのパンが並んでいます。季節限定のパンもあり、お客さんを飽きさせない工夫がされています。

今日行ったときは、檸檬クッキーが発売されていました。見た目は檸檬を輪切りにした形です。皮の部分が鮮やかな黄色で表現されています。そんな愛らしいクッキーは、思わず手に取ってみたくなる魅力があります。

常に15種類前後の幅広いラインナップのパンが並んでおり、見ているだけでもわくわくしてきます。

看板メニューの「塩パン」は、その美しい造形を眺めているだけで甘い溜息が出てしまいます。薔薇の花弁のように細やかに折り重なる層、外側のパリパリの先にもっちりとした食感。小麦粉の控えめな甘さの中に塩が加わることで、甘味が増し、大人の嗜みになります。

なんと翌日でも、リベイクすればもちもち食感が復活します。他のお店でも塩パンは売っていますが、ここの塩パンは別格です。

◎          ◎ 

私が特に驚いたのは、日曜日にはじめましてをした「マルゲリータ」です。

もはや背徳感すら湧いてくるもちもちのピザ生地と内側のトマトソース、ふんわりチーズの優しいコントラスト。そして、バターの香りとともになだれ込むとろーりモッツァレラチーズとアクセントのオリーブ。

次から次へと湧いてくる幸せサプライズの連続に、思わず目じりが下がります。いつも販売しているわけではない特別感も食欲をそそります。さらに「焼きたて」の札がついていたときは、チャンスです。買わずにはいられません。

たまにワンコイン(500円)で売っているときもあります。ビッグチャンスです。

自家製のカスタードクリームがたっぷり詰まった「クリームたっぷりパン」や、もちもち食感の丸い生地の中にチーズが入った一口サイズが可愛らしい「もちもちチーズボール」など、1つ1つ丁寧に作られたパンはどれも魅力的で、選ぶのが楽しいです。

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食べ終わった頃、身体がじんわりと温かくなります。科学的には小麦は体を冷やすと言いますが、本当に気持ちがこもっているものは、文字通り温もりが伝わるのだと気づいた日でした。

とても素敵な食べ物に出逢ったときは、いい小説を読んでいる時のように、丁寧に、ゆっくり、目の前にある「今」だけを噛み締められます。終わりが近づくとちょっぴり寂しくもなります。

でも、またこの幸せを味わうために日常を歩いていこうと思えるから、その地域スーパーのパンコーナーは、私たちの日々のお守りなのかもしれません。