深夜に食べるカップ焼きそば。明日のことなんて考えない。一瞬で過ぎていってしまう今を全力で楽しんでいた、わたしの青春の味。

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大学生の頃はよく1人で旅していた。コロナ禍の大学生。授業は全部オンラインになり、バイトもあまり入れない。そこでわたしは旅に出た。授業はどこででも受けられる。それをいいことにパソコン片手に、関東から飛び出し、地方を歩き始めた。

そこでわたしがハマったのはゲストハウス。毎日一期一会の出会いを繰り返し、旅人たちとの交流楽しんだ。様々なバックグラウンドを持った旅人たちは、わたしにたくさんの経験と刺激を運んできてくれた。

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あるとき、わたしは1週間ほど同じゲストハウスに滞在していた。泊まるところは同じでも、1日たりとも同じ日はない。毎日何が起こるか、誰と出会うかわからない。ずっとワクワクしていた1週間だった。

そんなある日、大学生の旅人が多く集まる夜があった。旅をする理由、コロナ禍での寂しさ、将来への不安、恋バナ、夢や希望。似たような環境にいる大学生だからこそ話せることがたくさんあった。話し込んでいるうちに気付けば夜も深まり、深夜2時。小腹が空いたのでコンビニに。

たまたま今日この場所で出会って仲良くなった仲間たちと歩く、深夜の道。コロナ禍でたくさんのことが制限されていたからこそ、この時間が、瞬間が、とてつもなく輝いていて心踊るものだった。コンビニで買ったのは缶チューハイに、超超超超超超大盛のカップやきそば。

「今何時でしょうか!」と動画を回しながら、カップやきそばを作り始める深夜2:30。普通のカップやきそばの比にならないほど必要なお湯。蓋をして待つ時間。水を切るときのワクワク感。ソースを混ぜ合わせるときの匂い。全部がわたしを刺激する。

あっという間に完成し、いざみんなでいただきます! 深夜に人と食べるカップやきそばほど美味しいものはない。身体に悪いことはわかりきっている。朝起きたら胃もたれで苦しむことなんて目に見えている。それでも「美味しい!美味しい!」と笑い合いながら、どんどん食べていく。なんならマヨネーズまでかける。次の日のことなんて考えていない。どうにだってなる。なにより、深夜に巨大カップ焼きそばをみんなで食べるという今この瞬間が、こんなにも楽しいのだ。

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案の定、朝起きると猛烈な胃もたれ。それでも一切後悔はない。あるのは楽しみきったという達成感のみ。振り返ると自分の心にいちばん素直になれていた時期だった。

社会人になった今はもう、明日のことばかりを考えている。無理な夜更かしなんてできないし、そんな体力もない。なんなら肌荒れやむくみのことまで考えてしまう。のびのびと自由にいられたわたしが恋しい。

それでもあの一瞬を全力で楽しんだわたしを褒めよう。何にも縛られず、心のままに進んでいった。そんな数え切れないほどのかけがえのない時間があったからこそ、たくさんの思い出に支えられて、今のわたしがいる。

そして思う、人生は楽しむためにあるのだと!深夜2時に食べたカップ焼きそばが、一夜をともに過ごした仲間たちが、それを教えてくれた。