私は中学生の時に普通科の高校に行かない選択をした。だから、理系が選べなかった。
将来はパティシエールになる!と意気込んで小学校、中学校と過ごしてきた。そのため進学したのは生活文化科という調理と被服について学ぶ高校だった。一般的には家庭科の専門学科ということになる。家庭科には理系も文系も選ぶ選択肢は無い。
私は不器用であることを忘れていた。ケーキ屋さんの職業実習でフィルムを貼る作業をやったところ、角をすぐに崩してしまって申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
この日でパティシエールになるということは完全にやめた。
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食に携わる方法は別にもあるだろうと考え調べた結果「管理栄養士」という資格があることを知った。栄養素を覚えることや体の仕組みを覚えること、計算をすることはそれほど苦ではない。よくみてみると受験資格は大学に行く必要があるようだった。
大学の受験科目は家庭科の指導範囲には入っておらず自力で勉強するしかなかった。
普通科の人と一緒に模試を受けた。私は普通科の人と比べて真ん中くらいの成績だった。それは高二の春までの話である。
それ以降は、勉強範囲についていくのが難しい。家庭学科は三年かけて生物基礎までしか勉強しない。センター入試では生物1も試験の範囲、つまり基礎だけでは内容が足りないのだ。専門学科は手に職タイプや専門学校に行きたい人には天国みたいな学科だ。しかし、大学に進学することを考えると極めて不利な学科とも言える。
家庭科から大学に進学する割合は極めて少ない。確か自分の学年では大学に進学したのは十%くらいだった。いっそのこと就職しようかと思ったのだが、やってみたい職業を調べると、大学卒業以上という求人ばかり。
大学を卒業することは、そんなに大切なことなのか、と高校生の時に思った。中学生の時に滑り止めの高校受験を行った帰りに誰かが言っていた「結局は大学どこ行くかでしょ」というのを思い出した。
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私は高校の時に飲食店でアルバイトをした。楽しいという感情の方が大きかったがこれを生涯仕事にするイメージは湧かなかった。活躍する分野が異なる管理栄養士の仕事についたとしても楽しく仕事するというイメージは持てなかった。
そもそも、私はミーハーなので〇〇県初出店!、オープニングスタッフ!のような求人広告を毎日のようにみて、楽しそうだったら応募する、ということをやっていた。そんなことをしていると、ただでさえ勉強しない学校で一般入試に合格できるはずもない。
管理栄養士の学科には落ちて悲しかった。普通科で理系に行けばよかった、と一瞬思った。しかし、私はメディア情報学科に入学できる権利はあった。これからSNSが流行るはずだからメディア情報でいいのだと思った。結局、ミーハー心がおどるのはこっちだった。
自分が選んだ道を正解にすることも自分でやるべきことなのだと私は思った。
文系だから、理系だからと嘆くことなく、自分の好きなように学び直して突き進むことができたら、自分の納得できる職業に辿り着けるはずだと私は思う。