地蔵盆、という行事をご存知だろうか。
地蔵盆とは8月23日と24日の地蔵菩薩の縁日ごろを中心に行われる行事だ。この行事は子どもが主役。町内ごとに地蔵尊の前にお供えをして、お菓子などを食べながら、遊びをするものだ。京都を中心とした近畿地方で主に開催されているという。
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私は京都生まれの京都育ちで、地蔵盆に触れてずっと生きてきた。8月盆明けの土日にある、楽しい時間と。
ただ大人になるにつれ、思うことも増えてきた。そのひとつが、女性と男性に求められる役割だ。
事前準備として買い出しがあるのだが、するのは女性の役目。これは平日の日中に行くため、仕事している男性より行きやすいかららしい。
当日のテントの設営と解体は主に男性の役目だった。これは力のいる仕事だから。
スーパーボール掬い、輪投げ、ビンゴゲーム……そんな当日のゲーム進行は女性の役目。
男性はその間してたこと?集まって酒盛り。ひたすら呑んでいた。女性が子供たちを見ているあいだ、ただ楽しそうに。
2日にわたって開催されていた時は、翌日カレーだったのだが、それを作るのも女性の役目だった。
私はそれをどこか歪に感じる。
昔の私はそういうもんだと思っていた。けれどジェンダーを学ぶとそうは思えないのだ。
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確かに力仕事は男性の方が力あるからいいという意見もあるだろう。けれど若者より失礼ながら老人が増えた昨今の町内。若い人が設営を担う方がいいと思うのだ。事故も減りそうだし。
平日の昼間に買い出しだから、女性の方がいいというのもそう。今どき共働きが主流。我が家は違ったが、女性は休んで買い出しになってやしないだろうか。
ゲーム中もそう。小さいころ、なんであのおじさんたちはお酒を呑んで遊んでくれないのかって思ったこともあった。遊んでくれるのはその場の子どもだけで、面倒見るのは女性ばかり。いても自身の子がいる男性だけ。
子どもがいないからしかたないのか。そうじゃないでしょ?地蔵盆は子どもが主役の祭りなんだから。子どもを見てあげて欲しい。遊んであげてほしい。
じゃあそういう私はできているのか。そう言われるとこれまた難しい。
療養で仕事をしていない。だから行くとなにか言われて精神を病むからいけないのだ。
今の地蔵盆の集まりは、実際運営する人・経験者がほぼいない状態でしているのも知っている。だから、まともに成り立っていないと噂にも聞く。その状況で、現状療養中の私はストレスを増やすわけにいかず、親からストップがかかっているのだ。
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いや、これは言い訳だろう。だってこのジェンダーのおかしさに気づいている若者は、この町内に少ないだろうから。
それでも言えやしないのだ。実際にできそうな解決案が思いつかないから。
地元で感じたジェンダーギャップ。それは地域での行事における男女の役割。
ただ、少し世は変わったらしい。
今年から福引の買い出しが、ネット通販になったと聞いた。正直、そんな手があるのかと驚いた。確かにネット通販なら誰かが買い出しに行かなくて済む。全員で話し合って決められるだろう。女性陣だけじゃなくて男性陣も一緒に決めたと信じている。
設営も男女問わず参加者の中で若めの人が中心にするようになった。これもきっといいことだろう。
今年の地蔵盆は参加する予定じゃなかったけど、ちらっと覗いてみるのもいいかもしれない。願わくばあの当時よりもジェンダーギャップが減っていますように。