かがみよかがみでは、「女性が希望のキャリアを選択できる社会」に向けて、社会全体で取り組む機運の醸成を目指し、8月21日「女子大生の日」に向けた特集企画を開催しました。かがみよかがみを中心に、朝日新聞社が運営する6つのメディアとともにエッセイを募集しました。

今回は各編集部が選んだ大賞作品を発表します。

◆withnews「地元で感じたジェンダーギャップ」大賞作品

母が保護者欄に書いた父の名前。なぜ父を立てるのか不思議だった(kanon.)

水野梓編集長・講評

学校の書類の保護者欄に記入するのは母親でも、名前は当然のように「父親の名前」だった――。kanon.さんの体験に共感しました。家族のかたちはさまざまで、kanon.さんの言うように〝親代表〟として「父親を立てる」文化はいまの時代に合いません。「暗黙のルール」は何のためにあるのか、立ち止まって考えたい問題です。誰もが経験する身近なテーマから、違和感を持って言語化していく大切さを考えさせられました。

◆4years.「スポーツとわたしの距離感」大賞作品

憧れのチームへの入部。だけど私は最初から居なかったことになった(みうら)

井上翔太編集長・講評

退部された後、学内メディアで同期のインタビュー記事を読まれた際の感想が、とても心に刺さりました。私がみうらさんの立場だったら、同期の方を恨んでいたかもしれません。しかし正反対の感情を抱かれたことに、驚かされました。

みうらさんが大学体育会での生活を改めて思い出し、言葉にすることも、大変勇気のいる行動だったと思います。また最後の段落は私ども、学生スポーツを採りあげるメディアに突きつけられたメッセージであるとも受け取りました。

◆朝日新聞デジタルマガジン&「3ミリ新しい私」大賞作品

私を許すために、この世界に新しく産声を上げるために踏み出したあの日の一歩(まろちゃん)

坂井浩和編集長・講評

鬱と診断され、大学院を辞めることになったまろちゃんさん。「今考えてもよく生きていた」と振り返る毎日のなか、クリニックの先生の言葉をきっかけに一歩を踏み出しました。少しだけ前向きになったその日を経て、「あの日の私に幸せと伝えたい」と話せるようになった今。短いエッセイながら、その間の様子と気持ちの変化が丁寧に綴られています。この作品を読んだ人たちにも、新しい3ミリの変化が訪れますように。そう願って大賞に選出しました。

◆SDGs ACTION! 「わたしが理系を選んだ理由、選ばなかった理由」大賞作品

この男ばかりの世界を強く生き、女性が活躍できる環境を私が作ろう(葵月みず)

竹山栄太郎編集長・講評

大学で機械工学科に進んだ葵月みずさんは、女性が少ない環境に悩まされました。そんなとき、「宇宙ロケット部」の魅力に動かされ、「女性もここで楽しく生きられることを示そう」と決意。心地よい環境作りに努めたそうです。

「女性初の社長」などのニュースを聞く機会も増えてきましたが、これまで男性ばかりだった場所で女性が居場所を作り、地位を築くことの大変さは、私を含む男性には想像がつきにくいのではと思います。

葵月みずさんの決意とがんばりを見て、周りの女性たちも勇気をもらったことでしょう。その行動力をたたえたくて、大賞に選びました。

◆AERA dot. 「わたしの『学び』の先には」大賞作品

「学び」は私に、生きる糧となる仕事と「やれば出来る」と進む勇気を与えてくれた(またたび 茶子)

鎌田倫子編集長・講評

学びの成果とは? 茶子さんが導き出した「答え」がすてきでした。導き出す過程も、苦しさも含めてすてきだなと思いました。文章は書き手の気持ちを整理する手段でありつつ、読み手も得るものがあってほしいと思っています。エッセーを通じて茶子さんの人生に触れることで前向きな気持ちが湧いてくる。そんなすばらしい作品でした。

GLOBE+ 「私と世界のつながり」大賞作品

女性が世界を舞台に当たり前に活躍できる未来を目指して。地方OLの挑戦(森山とまと)

関根和弘編集長・講評

留学経験などを通じて「世界」を身近に感じることができた学生時代から一転、地方にUターン就職し、海外との接点がなくなった生活に筆者は当初ショックを受けますが、あきらめることなく世界とのつながりを求める様子に、勇気と元気をもらいました。一方、筆者はそれにとどまらず、海外勤務を希望することで別の課題にも気づいたことをつづっています。女性の海外勤務者は男性の10の1程度だという格差です。実体験に基づいた文章からは、たとえどこにいようとも、意志さえあれば世界とのつながりは持てるという力強さと、困難に直面しても挑戦し続ける情熱が伝わってきました。大賞にふさわしいエッセイだと思います。

以上、「女子大生の日」企画、大賞作品の発表でした!
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