49歳更年期まっただ中の「痛い・暑い・起きられない」の毎日を送っているパート社員の「3ミリ新しい私」の話です。

独りよがりの一人言です。時間があったら聞いてください。

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「放課後等デイサービス」って知っていますか?「放デイ」と呼ばれています。
放課後等デイサービスは、心や体に何かしら障害のある就学児や発達に特性のある就学児が利用できる通所支援サービスです。

子どもたちは小学校が終わってからくるので民間の学童のような感じですが、見守りが必要な子が多く、私の施設では子ども10名に対してスタッフは4~5名はいてとても手厚いです。それでも手がたりない時もあります。

私も放デイの存在は、勤務するまでは、「最近よく看板みるなぁ」というくらいで実際には全く知りませんでした。
それまでは、民間の学童に勤務していましたが、40名の子どもに対してスタッフ4人でしたのでホントに騒がしく、スタッフは常に叫んで、泣いてる子もいるし、けんかもあるし、わちゃわちゃしていました。保護者対応も大変でした。子どもたちはなんだかんだ言ってもかわいいのですけれどね。

それでも学校の先生は40人前後を1人でみているのだからスタッフ4人いるならまだましだと思っていました。だから「10人を大人4人でなんてそんなにラクでいいの?」と初めは思いました。初めは…です。

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勤務初日、学校が終わった子どもが入ってきて「こんにちは!今日から勤務の〇〇です」と声をかけると、初対面の私に返ってきた言葉は「死ね、ババア!」でした。
確かにババですし、死もあなたより近いですけれどね、それでもびっくりしましたよ。私の娘は小4で同じくらいですが、こういうの漫画やドラマに出てくる反抗期の息子がいう言葉よね、実際にあるのね~とう感じでした。

「こちらの放デイでは軽度の症状のお子様しかお預かりしていませんので」と面接時に施設長がおっしゃっていましたので軽い方なのだと思います。
症状は子どもそれぞれ様々で、「自閉症」「ダウン症」「情緒障害」「多動」のお子様など同じ名称でも個人差がありますのでやはり1人で2人のお子様で手一杯でした。その日の体調で急に暴れ出す子どももいるため1人に1人スタッフが必要な場合も多いです。

スタッフも私は「保育士」枠ですが、「作業療法士」「言語聴覚士」「看護士」等様々な療育担当がいます。学べることが多いのはこの職場ならではだと感じています。

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ただメンタルがきついのは確かで、私が苦手だなと思ってしまう子どももいます。未熟で申し訳ないと本当に思います。

「死ね」とか「デブ」「ブタこっち来んな」「おまえ嫌い」など今まで直接言われる環境になく「療育」なんだからとわかってはいても…でした。
最初はその言葉になんて返したらよいかわからず「〇〇さん、私はおまえではなくて〇〇だよ。〇〇さんて呼んでね」とまずは名前を覚えてもらおうというので精一杯でした。

保護者の方々は全員ではありませんが、8割くらいは「いつもありがとうございます、ご迷惑かけていませんか」等、職員に気を使ってくださる方が多いです。

自分の子どもったら本当に大変だと思います。私ならこの子にどうやってよりそえばよいのか、これで伝わっているのか、この子のためにこれで良いのか、将来はどうなるのか、自分のイライラはどう処理すればよいのか、子どもに手をあげてしまわないか等、毎日自問自答で頭ぐちゃぐちゃになると思います。
他人の子どもで、給与をもらい仕事として携わっているから冷静でいられるとも思いました。

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それならまずは療育について入門編の本から手をつけ自分なりに模索してみようと思いました。その結果、この子たちは私とかわらない、と少しずつ思えるようになってきました。

私は子どもの頃から視力が悪く小学生から眼鏡でした。
もともと目が見えづらかったのでそれが当たり前で自分が目が悪いということをあまり意識していませんでしたし、背が低かったためと名前順も前の方だったためかいつも学校の教室では前の座席が多く困ることもなかったのです。

ですが小3の席替えで初めて後方になり板書がノートへ写せず眼鏡となりました。当時は今ほど眼鏡の子がいなくて、本当にイヤでした。

でもよく見える世界を知ってしまうとぼやけているのが逆に気持ち悪くなったり、結局はくっきりはっきり見えるのはよいなと思うようになりました。
それまで「〇〇は目があっても挨拶しないよね」や家で掃除機をかけても「ゴミ残ってるよ。もっときれいにかけて」など自分では挨拶しなかった記憶もないし、掃除機はきちんとかけているつもりだったけど見えていなかったんだなということにも後々気づきました。

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教室の後ろの席から「板書を写しなさい」といわれても無理なんです。見えないんですから。
目が悪かったら眼鏡、耳が聞こえづらかったら補聴器と同じように、この子たちは療育が必要なんだなと。

そんなこんなの日々を送っていたある日、死ねババアの子が「〇〇さん、はさみどこ?」と話しかけてくれたんです。めちゃくちゃ嬉しいですよね。
3ミリ新しい私になれたかはわかりませんが、1ミリずつでも成長してこの子たちの役にたてたら嬉しいと思えるようになりました。