毎日の暮らしの中でちょっと窮屈に感じていた日本をポンっと飛び出して、海外で生活をし始めてから早いものでもうすぐ37年。
こちらで生活するようになってからの毎日は新しいことの発見どころか、毎日がジェットコ-スタ-に乗っているようなドキドキな感じで一杯でした。
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毎日新しい発見に触れることで昨日の自分より今日の自分が日に日に変わっていくのが手に取るように感じられる、そんな毎日を過ごしてきました。
当初触れた変化はあまりにも激しすぎたのでしょうか、自分が一度全くの白紙の状態に戻ったようなとても衝撃的な感覚を味わったことがまるで昨日のことのように今でもよみがえってきます。
ところが海外で生活している年数が日本で過ごしてきた年数を超えたあたりからは、そんな新しい発見の感覚もなくなってきていることにさえ気づかないというすっかり慢性化した自分がいたのでした。
いつの間にか毎日の生活や仕事に追われてあわただしく一日一日を終えることに精一杯で、昨日よりも変わってきた自分の変化を楽しんだり自分に磨きをかけたいとか、そんなことには無頓着になってしまった面白みのない私になってしまっていたのでした。
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そして年齢とともに会社での仕事上の責任が重くなり、もうその重みで今にもつぶれてしまいそうになっていた自分。
そんなある日、長年勤務していた会社から急に言い渡されたリストラ宣言……。
頭が真っ白になるっていう感覚をなんとも初めて味わいました。
あまりにも予想外の事態に向き合うと本当に頭が真っ白になっちゃうんですね~。
言葉そのものですね。
そしてそんな強烈な感情の後に襲ってきたのは、何とも例えようのない巨大な空虚感。
そんな気持ちのまま、なんとも気分の上がることのない淡々とした毎日を過ごしてきました。
ところがそんな毎日を過ごしていた私にも人生の中での大きな転機がやってきました!
いろいろなことを体験したりくるくると生活が変わったりと人生半分以上過ごしてきた中でまあまあそれなりに波乱万丈な私の人生でしたが、そんな中でまだ実現されることのなかった私の夢の一つ「お庭のある海の近くの広い一軒家で犬と一緒の生活をする」ということが実現する日がやってきたのです。
ずいぶんと長い間感じることがなくなってしまっていた、あのドキドキするような毎日がまた私のもとに戻ってきたのです。
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初めて見た瞬間から一目ぼれをしたボロボロの廃墟だった家の購入までの長い日々……。
自分のものになってから完全リフォ-ム工事が始まるまでの険しい日々……。
床から屋根までのすべてにわたって自分の好きなものだけで埋めるための材料選びのわからないことだらけで勉強に明け暮れた日々……。
室内と屋外の大幅な工事が終わったのちに待っていた楽しい家具選びの嬉々とした日々……。
そして今……。
夢にまで見た新居でまだまだ沢山の不自由を繕いながらも幸せを胸一杯に感じ始めている毎日を過ごしている日々……。
厳選されたとことんナチュラルなベージュでクリ-ムに限りなく近い色の座り心地が最高なソファ-のうえで、お庭からとってきたレモンをぎゅっと絞って氷でキンキンに冷やしたおいしいお水を手にしてふっと一息ついているとふとよみがえってきたあの感覚。
そう、自分が変わったというあのぞくぞくするような感覚。
昨日よりもちょっとだけ、そう……3ミリだけ新しくなった私。
そんな私に一声かけてあげたくなりました。
「一生懸命に頑張ってきたのね、お疲れ様。ちょっと一息ついて休んだらまた明日から3ミリずつ前進していきましょうね」。
昨日より3ミリだけ新しくなった私がなんとも愛おしい、そしてそう思える自分がとても幸せに思えます。
素敵に年齢を重ねていくことができてありがとう、3ミリだけ新しくなった私に。