今年は夏休みのはじまりが遅かった。大学生なのに3週間もない夏休みに悪態をつきながら、それでもパンッパンに誰かと会う予定をつめた。
今のインターン先の仲間や、半年ぶりに会う高校の同期や、1年ぶりに会う違う地方に就職した先輩、はては初めて会う同じアイドルグループのファンの人たち。

会う人は日によって異なっていて、そのバリエーションが豊かであればあるほど、なんだか世界とつながってるなぁと感じられる。

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インターン先の仲間とは週に一度以上、必ず顔を合わせている。「おつかれ〜」と言葉を交わして飲み屋に入り、インターン先の話もそれぞれの大学の話もした。

たまたまわたし以外の参加者がみんな文系だったから、興味深く聴いている時間が多かった。「理系ってこういうことないの?」と訊かれるたびに、わたしは理系の中でもだいぶ変なところにいるからなぁと思って曖昧な答えを返し続けた。

今この場にひとりしかいない理系の子、であるという自覚が芽生えてもぞもぞしてしまった。お酒もごはんもおいしかったけど、わたしはきっとみんなが思う「理系の子」ではない。

半年ぶりに会った高校の同期はわたしを見るやすぐに「最近何か始めた?」と訊いてきた。久しぶりに会ったのに、なんだって無謀にも挑戦していた高校生の頃に戻った気がした。わたしにはもうあのときのような勢いはないし、それは彼女も同じみたいだった。

おいしいピタパンサンドを食べて、バーに行った。わたしの方がお酒が強いからとペースを合わせているのがバレていて、なんだかとても気恥ずかしかった。指摘されてから合わせずにいたら、それもバレた。

バーを出て駅まで歩きながら、お互いに「何かを始める」約束をした。

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違う地方に就職した先輩はしきりに「もう残星ちゃんも就職する年齢か〜」と繰り返した。「まだ就職しないんですけどね」と苦笑いで返答しながら、このの中でわたしはきっと初めて会った中学生の頃のままなのだろうなとぼんやり思った。

わたしはもう成人していて、ふたりの間にあるのはワインのボトルなのに。でもわたしもその先輩のことを高校生の頃のままだと思っている節があるので、お互い様なのかもしれない。

同じアイドルグループのファンの人たちとは、持ち寄りパーティーをした。「はじめまして」を繰り返しながら、全然はじめましての感じがしなかった。きっと何回も電話してきたからだと思う。

キッチンがついたレンタルスペースを借りたので、軽く何品かつくることになり、わたしは胡瓜やもやしを使ったおかずを作った。「手際良い!残星さんって1人暮らしでしたっけ?」「いえ、まだ実家です」「あ、まだご結婚されてないんですね」「半年前に彼氏と別れました」。言いながら、わたしはいったい何歳に見えているのだろうとおかしくなった。

何かの、誰かの、ファンをやるのに年齢は関係なく、わたしは年齢不詳のである。

世界と繋がれば繋がるほど、"誰かの中のわたし"が増えていく。それらを垣間見ることができる瞬間を、わたしは結構愛している。