わたしが最初に世界に触れたのは、幼稚園のときのインターナショナルスクールでした。
5歳の時に引っ越したのをきっかけに、英語だらけの空間に突然投げ込まれ、何がなんだか何もわかっていませんでした。
そのころの私は英語を話したことは一度もなく、即刻一番下のクラスになりました。
周りには日本語の伝わらない先生ばかり。幼い私にとって、知らない言葉や文化に囲まれることはとても大きなストレスであり、毎日行くのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。
しかしこの経験が、今後の私の人生観を大きく変えました。

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次に世界に触れたのは小学校。
私が通っていたのは私立の小学校で、1年生の時から英語の授業がミッチリありました。
ほとんどの生徒が初めて英語に触れる中、私は少しだけ先に経験があったことから、少し優越感に浸っていました。
今思えば、この優越感が英語や海外に対するハードルを低くしたきっかけだったのかもしれません。
最初は他の生徒よりも少しだけ先を行っているという優越感から英語を楽しんでいましたが、その優越感は自信へとつながっていきました。

英語に対する自信がついてきた私は、小学校5年生の時に2ヶ月間の短期留学に挑戦しました。
10歳にとって、異国の地で2か月過ごすということはキャパオーバーな体験ばかりでしたが、この経験を通じて多くのことを学び、精神的にも強くなったと思います。
この留学経験は、私にとって大きな転機となりました。異文化の中で生活することで、言葉そのものから、その文化や習慣を理解することができると気づきました。
そこにはもう、伝わらないことを嫌がる5歳の女の子はいませんでした。

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それから月日が流れ、世の中はますますグローバル化が進みました。
英語が使えることは当たり前となり、「英語はちょっと苦手で」なんて笑って済ますことができない時代になってしまいました。
そんな時代の中で、英語というハードルをサクッと越えることができるフットワークの軽さを身につけた自分はなんて恵まれているのだろうと考える時があります。

5歳で突然放りこまれた異国の言語。
10歳で自ら飛び込んだ異国の地。
あの時逃げずに英語を学び続ける選択をし続けたことが、私にとって大きな財産となりました。

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今では、英語を使って様々な国の人々とつながることができるようになりました。
生まれた場所の母国語に関係なく、さまざまな人が英語を学んでいます。
つまり英語を話せることでコミュニケーションを取ることのできる人が格段に増えるということです。
異なる言語に対しての苦手意識も払拭されました。

振り返ってみると、英語を学び続けたことが私の人生の考え方に大きな影響を与えたのだと思います。
言語は脳の働きを表現する唯一の手段です。
そのため、やはり言語が違えば考え方にも影響は出ます。
ほんの少しの苦手意識の薄さが私と世界をつなぐことにつながりました。

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つなぐという行為はものとものの間に存在するように見えます。ですが、実際はものとものの境界線を薄くする作業だと思うのです